国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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ヒラメ放流種苗のアミ類捕食量と成長について

[要約]
 飼育実験を行い日間摂餌率と成長率の関係を求めるとともに、モデルフィールドである新潟市五十嵐浜において平均体長64mmの種苗32千尾を実験放流し、摂餌率、成長等を調べ、ヒラメ放流種苗のアミ類捕食量を算定した。


日本海区水産研究所・資源増殖部・魚類増殖研究室
[連絡先]  025-228-0451
[推進会議] 日本海ブロック水産業関係試験研究推進会議
[専門]     資源生態
[対象]     ひらめ・かれい
[分類]     行政


[背景・ねらい]
 ヒラメ放流技術開発を進める上で、放流水域に主要餌料であるアミ類がどの程度分布しているかが重要となるが、その判断材料とし てヒラメ自体のアミ類捕食量を算定することが不可欠である。飼育実験によってこれを求めるとともに、モデルフィールドである新潟市五 十嵐浜において平均体長64mmの種苗32千尾を実験放流し、摂餌率、成長等を調べた。


[成果の内容・特徴]

  1. 生きたアミ類を用いてヒラメの日間摂餌率と成長率の関係を求め、成長を維持するためには日間摂餌率2%以上が必要であることを明 らかにした。また、生きたアミ類の代替餌料として冷凍オキアミを用いても成長率に差がないことが確かめられた(図1)。
  2. 放流種苗のアミ類摂餌率は天然ヒラメと比較して放流後1週間まではやや低いが9日目にはほぼ同等となった(図2)。
  3. 放流種苗の摂餌率の低さは成長に反映され、放流後9日目まで成長が停滞する傾向を認めた(図3)。
  4. 主要魚種のアミ類の摂餌量の推定を行った結果、放流定点の放流後に特に摂餌量が高くなる傾向は見られず、放流種苗の摂餌量も低い 割合であり、今回の放流尾数レベルではアミ類を捕食する他の魚類への影響は小さいと考えられた(図4 )。

図1図2

図3図4

[成果の活用面・留意点]
 ヒラメ放流事業を行う際、放流水域に主要餌料であるアミ類がどの程度分布しているかが重要となるが、ヒラメ自体のアミ類捕食量 を算定することが可能となればより一層精度の高い放流数との関連が得られる。


[その他]
研究課題名:浅海成育場群集における異体類放流稚魚の生態的地位の解明
予算区分 :大型別枠(生態秩序)
研究期間 :平成7年度(平成5~7年度)
研究担当者:野口昌之、藤井徹生
発表論文 :砂浜海岸での放流ヒラメ種苗の餌条件、p100-101、養殖、401、1995