国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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遠洋水域における大型外洋性いか類の資源開発

[要約]
 1995、 96年の秋季にインド洋でトビイカの資源開発調査を行った.その結果、釣りにより1夜(4時間の操業)で最高2トンの良好な漁獲が得られた.また、トビイカには少なくとも3型が知られていたが、それらは外部形態で明瞭に区別された。


遠洋水産研究所 外洋資源部外洋いか研究室
[連絡先] 0543-36-6056
[部会名]水産
[専門]資源評価
[対象]いか類
[分類]普及


[背景・ねらい]
 アラビア海北西部はモンスーンに起因する湧昇域であり基礎生産が高いことが知られる。また、インド洋外洋域でのいか類の漁獲可能量は少なくとも9万トン/年と見積もられているが、いか資源は未開発のまま残されている。21世紀には人口爆発による食糧供給の逼迫が確実視されており、いか類は開発余地のある水産資源として注目されている。そのため、同海域で最も卓越するトビイカの漁業資源としての可能性を検討し、その生物学的特徴を解明することを目的として、1995年と96年秋季に調査船調査を行った。


[成果の内容・特徴]

  1. いか釣り調査の結果、漁獲物の大部分はトビイカであった。トビイカは調査を行った北部インドほぼ全域に出現し、アラビア海北部で豊富に見られた(図1)。最高の漁獲は1夜(4時間の操業)で2トンであった。
  2. トビイカには大型(最大外套長49cm)、中型、矮小型が認められ、これら3型は発光器の有無、ヒレの形態、肥満度などにより明瞭に区別された(図2)。大型はアラビア海北部に固有、中型はアラビア海北部を除くインド洋に普遍的に分布し、矮小型は希であるが赤道域を中心に分布していた。
  3. プランクトンネットによる調査結果では、トビイカが頭足類の全採集個体数の約70%を占め、アラビア海北部とモルジブ諸島付近で多く見られた
  4. 人類の直接の食用資源としていか類が満たすべき要件は、(1)食用に適した肉質であり、(2)体の大きさが中型ないし大型で、(3)資源量が大きく、(4)一生のある時期には漁獲が可能な集群を作るのでなければならない。今回の調査の結果、インド洋のトビイカは(2)~(4)上記の条件をほぼ満足することが示された。また、肉質については専門機関に研究を依頼している。

図1

図2

 

[その他]
研究課題名:遠洋水域における外洋性いか類の資源開発
予算区分 :経常
研究期間 :平成7~10年度
発表論文等:インド洋特産の大型トビイカ-新資源としての可能性。海洋と生物101(1995年)