葛西臨海水族園開園35周年記念イベント「かさりんBASE!サンゴ」に協力しました
令和7年3月9日に葛西臨海水族園で開催された開園35周年記念イベント「かさりんBASE!サンゴ」に協力しました。
近年、サンゴは海水温の上昇による白化現象などにより、生息域を急速に縮小させています。
いま減っているサンゴをなぜ増やす必要があるのか?それは、サンゴが水産資源の回復や増大に寄与しているからです。
サンゴ礁は、多くの生き物たちにとって住みかや食べ物を提供する重要な場所であり、その回復が強く望まれています。サンゴ礁にすむ魚を獲っていくためには、そこに住む場所も作ってあげる必要があります。
特に、幼魚は死亡率が高いので住む場所を特定して守ることも重要です。
当機構では、水産庁の委託を受けて、サンゴ礁を大規模に修復するための基盤技術として、サンゴの一斉産卵時に高さ4mの大型ネットで卵を採取し、育てた幼生を特殊な形状のブロックに着生させる「サンゴ種苗大量生産技術」を開発しました。
このブロックは、幼生が付着しやすいよう四角い空洞が設けられており、ネットの内部に吊り下げて使用します。
幼生はブロックの内壁に着生して小さなポリプへと成長し、この形状のおかげで魚に食べられるリスクを減らせるため、天然より効率的にサンゴの種苗へと育ちます。
会場では1~3歳の生きたサンゴ種苗を展示し、サンゴの成長速度に驚かれました。
この技術の特長は、天然サンゴが死にやすい生活史初期の生存を飛躍的に高めることができ、クローンではない有性生殖種苗なので、たくさん並べてサンゴの幼生供給拠点を作ることができます。
ブロックはサンゴの砂で出来ており、サンゴ礁の海で大量に使ってもゴミになることはありません。こうした技術開発によりサンゴが少しずつ回復するよう地元の漁業者と一緒に取り組みを行っています。
また、ブースではスジアラとナンヨウブダイを展示しました。
スジアラとナンヨウブダイは大型でとても美味しいことから、サンゴ礁の水産業を支える最重要種になっています。
今回この2種類を来場者の皆様に直接触れていただく機会を提供しました。
普段、切り身ではない魚に触れる機会の少ない子どもたちは、目を輝かせたり、おそるおそる触ったりと、様々な反応を見せていました。
そのほか、「携帯式自作GPSブイ」「ダイブコンピュータ•コンパス•時計をとりつけられる記録板」等、調査で実際に使用している機材も展示し、サンゴ礁で暮らす魚類の生態調査についても紹介しました。