水産技術研究所生産技術部技術開発第1グループの中村政裕主任研究員が水産学奨励賞を受賞
掲載日:2025年1月29日
中村政裕氏が水産学奨励賞を受賞し、2025年3月26日-3月29日に北里大学相模原キャンパスで行われる、日本水産学会春季大会で表彰されることになりました。
課題名
魚類の生活史戦略に関する行動生理学的研究
受賞日
2025年1月8日
研究実施者
中村政裕(水産技術研究所 宮津庁舎)
学会名
日本水産学会
受賞内容
水産動物の生活史研究において、これまでは環境の動態から集団全体のふるまいを推測して説明するものが多かったが、受賞者はこれとは逆に、個体に内在する自律的な性質を明らかにして魚類の生活史戦略を理解するアプローチの研究に取り組んだ。
特に「通し回遊魚の進化機構に関する研究」では、ウグイやクロダイのように本来広塩性である魚が、生まれた場所と異なる浸透圧条件では順応できる水温範囲が劇的に狭くなることを突き止めた。このことは通し回遊の進化機構だけでなくサケ類やウナギの養殖・放流の現場にも有益な示唆を与えるものである。
また、「小型浮魚類の初期減耗過程における成長・生残戦略に関する研究」では、マサバ稚魚の耳石酸素安定同位体比と生息水温の関係、成長速度と突進遊泳行動の関係、マサバ稚魚とカタクチイワシ仔稚魚の餌選択性について飼育実験で精度の高い情報を提供し、資源変動予測や温暖化の影響評価に大きく寄与する成果として評価された。
今回の受賞は、これらの研究の独創性、成果の重要性及び将来性が評価されたものである。