大西拓也研究員が日本プランクトン学会論文賞を受賞
掲載日:2025年3月27日
水産資源研究所海洋環境部(釧路庁舎)の大西拓也研究員が、日本プランクトン学会から論文賞を受賞しました。


論文名
Experimental assessment of copepod survival in response to the harmful dinoflagellate Karenia selliformis from the southeastern coast of Hokkaido, Japan
著者
- 大西 拓也(水産資源研究所釧路庁舎)
- 谷内 由紀子(水産資源研究所釧路庁舎)
- 渡辺 剛(水産資源研究所釧路庁舎)
- 紫加田知幸(水産技術研究所五島庁舎)
- 葛西 広海(水産資源研究所釧路庁舎)
掲載誌
Plankton and Benthos Research 19(2): 88-97, 2024
https://doi.org/10.3800/pbr.19.88
論文の概要
2021年秋、北海道東部太平洋沿岸域で大規模な有害赤潮が発生し、カレニア・セリフォルミス(Karenia selliformis)という渦鞭毛藻が主要な原因種として確認されました。我が国では初めて報告された本種の赤潮によってサケやウニなどの水産資源に甚大な被害が生じた一方、水産魚種の主要な食物となる動物プランクトンへの影響は十分に解明されていませんでした。
本研究では、北海道東部太平洋沿岸とその周辺に生息するカイアシ類を当機構調査船の北光丸と若鷹丸で採集し、カレニア・セリフォルミスの曝露実験を行いました。その結果、高濃度下でカイアシ類の生残率が著しく低下するだけでなく、カイアシ類に対して有害な物質を細胞外に放出する可能性が示唆されました。さらに、カイアシ類が本種を摂食する際には摂食率が抑制され、カレニア・セリフォルミスによる赤潮が動物プランクトン群集を介して低次生産過程に影響を及ぼしうることが示されました。
カイアシ類はマイワシやサケ、サンマなど多くの水産魚種にとって重要な食物です。本研究では、カレニア・セリフォルミスがカイアシ類の生残・摂食に与える影響を明らかにし、有害物質の分泌を示唆する知見を得ました。これらの成果が、沿岸生態系の低次生産過程に与える影響を評価するうえで重要と認められ、今回のプランクトン学会論文賞を受賞するに至りました。