国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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水産技術研究所生産技術部技術開発第5グループの三田哲也研究員(当時)が日本甲殻類学会論文賞を受賞

掲載日:2024年12月18日

 三田哲也氏(現国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター主任研究員)が日本甲殻類学会論文賞を受賞し、2024年11月31日-12月1日に函館で行われた、日本甲殻類学会大会で表彰されました。
 

20241131

(三田主任研究員は左)

 

受賞論文

Effect of body size on cannibalism in juvenile mud crab Scylla serrata (Decapoda: Brachyura: Portunidae) under laboratory conditions. 

著者

三田哲也*1・2, 清水智仁*1, 團 重樹*3, 濱崎活幸*3

*1:国立研究開発法人 水産研究・教育機構
*2:(現所属)国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 水産領域
*3:国立大学法人 東京海洋大学

掲載誌

Crustacean Research 50, 87-93(2021)

https://doi.org/10.18353/crustacea.50.0_87

論文の概要

多くのカニ類養殖では、共食いが頻繁に発生し、生産歩留まりが低下することが問題となっている。このため、東南アジアを中心に多くの国で行われているノコギリガザミ類の養殖においては、1個体ずつ容器に入れて飼育する「個別飼育」が飼育方法の主流となっている。しかし、この飼育方法は広大な飼育池や多くの人力を必要とし、コストダウンを目指すためには、集約的な集団飼育が行えるよう、共食いを防除する技術の開発が急務である。

本論文では、ふ化幼生から生産されたアミメノコギリガザミ(Scylla serrata)の稚ガニを用い、甲幅12.5から33.3mmの異なるサイズの稚ガニ2尾を1対1で24時間飼育し、共食い行動を観察した。その結果、共食いは常に大きなサイズの稚ガニが小さなサイズの稚ガニを攻撃して発生することが確認された。さらに、2尾のサイズ比率[RSD=1-(小サイズの甲幅)/(大サイズの甲幅)]が大きくなるほど共食い発生確率が上昇することが明らかになり、計算上、この比率が0.34の場合には50%の確率で共食いが発生することが示された。

なお、本論文は三田哲也氏が水産研究・教育機構水産技術研究所生産技術部技術開発第5グループ在職時の研究成果を論文化したものです。