国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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ヤナギムシガレイ人工種苗からの親魚養成・自然産卵技術の開発

[要約]
ヤナギムシガレイ天然親魚から人工受精によって生産した種苗を水槽内で約4ヶ年育成し、親魚の養成と自然産卵に成功した。


新潟県水産海洋研究所 栽培技術課
[連絡先]025-263-7334
[推進会議]日本海ブロック
[専門]飼育環境
[対象]かれい
[分類]研究


[背景・ねらい]
 新潟県では平成8年度からヤナギムシガレイの種苗生産技術開発に取り組み、天然親魚の水槽内自然産卵技術の開発により平成12年度に10.6万尾の種苗を生産することに成功した。しかし、産卵のための親魚を生きたまま確保することは極めて困難であり、「種苗の量産化」にとって最大の課題である「良質卵の大量・安定確保」の大きな障害となっている。これを解決するために人工種苗からの親魚養成技術開発に取り組んだ。


[成果の内容・特徴]
(1)平成10年2月6日に天然魚より搾出乾導法で得られた受精卵から平成10年6月1日(112~114日齢)5,289尾(平均全長29.8mm)の種苗を生産した(表1及び2)。
(2)その種苗を約4ヶ年育成し、平成13年12月(47月齢)に227尾(平均全長;雌151mm、雄142mm)の親魚養成に成功した(表3)。養成条件は以下のとおり。
 ・飼育水温は生息環境に合わせ、12.0℃に設定した(夏季の高温時には17.9℃まで上昇)。
 ・本種は水深80m付近以深に生息することから、飼育室の窓をブラインドで遮光した。
 ・平成13年5月(39月齢)から水槽底面に海砂を敷いた。以降、それまでの尾鰭欠損 がみられなくなった。
 ・親魚は本来、多毛類食であるため、育成3年目の平成13年10月からはそれまでのツノ ナシオキアミ(冷凍)をイシイソゴカイ(生)に切替え給餌した。
(3)養成した親魚は平成13年12月5日に産卵を開始し5日後の12月10日にふ化した。
(4)養成親魚から得られた卵のふ化率(H14.1.24採卵分)は天然親魚の卵を上回る78.6%であった(表4)。


[成果の活用面・留意点]
(1)受精卵の安定・大量確保により「種苗の安定量産化」が可能となる。
(2)今後、得られた受精卵から種苗生産を行い、健苗性について検討する必要がある。
(3)人工配合飼料による飼育方法も検討が必要である。


[具体的デ-タ]

  • 人工種苗養成親魚の卵・仔稚魚期における管理状況

図1

 

表2

 

表3

 

表4


[その他]
研究課題名:ヤナギムシガレイ種苗生産技術開発事業(県単事業)
研究期間  :平成13年度(平成8年~13年度)
研究担当者:佐藤 修、野瀬 哲 (栽培技術課)
発表論文  :なし