国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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我が国におけるヤリイカの漁獲実態

[要約]
 アンケート調査により、ヤリイカは沖縄、瀬戸内海および北海道胆振支庁以東を除く我が国の広い海域で漁獲され、近年における年間漁獲量は8,186~9,794トンと推定された。また、漁獲の年変動、季節変動、地域差ならびに漁法などが明らかになった。


青森県水産試験場・資源管理部
[連絡先]0173-72-2171
[推進会議]日本海ブロック
[専門]資源評価
[対象]やりいか
[分類]研究


[背景・ねらい]
 ヤリイカの漁獲統計に関しては、国の漁業生産統計年報で「その他イカ類」に区分されているのをはじめ、各都道府県の統計資料においてもヤリイカとして集計されているものは少ない。そこで、全国の水産試験研究機関を対象にヤリイカの漁獲実態に関するアンケート調査を実施し、我が国におけるヤリイカの漁獲量、漁期、漁法などを明らかにした。


[成果の内容・特徴]

  1. 海面を有する46の都道府県の水産試験研究機関に対し、図1に示すアンケート用紙を2001年6月25日に送付し、全機関より回答を得て、その結果をもとにヤリイカの漁獲実態について解析した。解析は54海域に区分した。
  2. ヤリイカは我が国において、沖縄、瀬戸内海、北海道東部海域を除く広い海域で漁獲されるという全体像がはじめて明らかになった(図2)。近年(1998~2000年)における我が国のヤリイカの年間漁獲量は8,186~9,794トンと推定され、そのうち、青森県が3,213トンで最も多く全国の約35%を占め、次いで北海道全海域が839トンで全国の約10%を占め、宮城県、愛知県の順となっていた。
  3. ヤリイカ漁業の最盛期は1月~3月の海域が多かった。また、ヤリイカは底曳網と定置網による漁獲が多くを占め、釣りや棒受網によるヤリイカだけを狙った漁業も成立していた。これらの他に、ヤリイカが漁獲されるほとんどの海域において、産卵していることが示唆された。また、ヤリイカの漁獲変動が気候のレジームシフトと符合している可能性が示唆された。

[成果の活用面・留意点]
 我が国におけるヤリイカの漁獲データが蓄積されたことにより、漁獲の変動要因や集団構造の解明につながるものと期待される。


[具体的データ]

図1
図1 ヤリイカの漁獲に関するアンケート用紙

 

図2
図2 海域別のヤリイカ年間漁獲量


[その他]
研究課題名:ヤリイカの資源変動と来遊予測手法開発事業(県単事業)
研究期間:平成13年度(平成12~16年度)
研究担当者:伊藤欣吾 資源管理部
発表論文等:ヤリイカの漁獲に関するアンケート調査結果,イカ類資源研究会議報告(平成13年度),(印刷中).我が国におけるヤリイカの漁獲実態,青森県水産試験場研究報告,第2号,(印刷中).