酸素ガスを用いたマダイ種苗生産の高密度飼育
静岡県栽培漁業センター
  [連絡先]055-939-0804
  [推進会議]中央ブロック
  [専門]種苗生産
  [研究対象]マダイ
  [分類]研究
  [ねらい・目的と成果の特徴]
- マダイの種苗生産では、生物餌料の栄養強化や配合飼料の導入により、近年生残率が向上し、沖出し種苗の大型化が見られている。反面、飼育密度の過密化に加えて、低酸素水の流入、給水量の不足などにより、酸欠による大量斃死の危険性が拡大している。そこで、種苗生産過程において、酸素ガスを通気することにより溶存酸素を補填し、健苗を大量に安定して生産する手法について検討した。
 - (1)大型液体酸素ボンベと気化器を用いての酸素ガス連続通気により、水槽内の溶存酸素濃度を100%以上に保つことに成功した。
 - (2)マダイ種苗の生産密度が増加し、生産性の向上が見られた。
 
[成果の活用面等]
  [具体的データ]

  図1 飼育水槽中の溶存酸素飽和度の経日変化
  孵化後8日目から昼夜連続の酸素ガス供給を行ったところ、飼育の終了期まで、飼育水中の溶存酸素濃度を100%以上に維持することができた。
  尚、酸素ガス供給に当っては、毎日の溶存酸素濃度の測定と供給量の調整が必要である。

  図2 酸素ガス連続供給開始年度以降における生産性の向上
   平成10年度は、出荷間際での酸欠事故により、生産性が激減した年であり、これを受けて、平成11年度以降、酸素ガスを連続供給している。
   平成11年度以降における1m3あたりの平均生産重量は、660g/m3であり、平成7~10年における平均生産重量(288g/m3)の2.3倍になっている。
   また、飼育時の換水率も5回転/日から3~4回転/日に減少させることができた。