天然海域におけるヒラメ稚魚の栄養状態評価法の検討
中央水産研究所 海区水産業研究部
[連絡先]0468(56)2887
[推進会議]中央ブロック
[専門]資源生態
[研究対象]ヒラメ
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
- 目的:ヒラメの資源量を予測したり、適切な種苗放流場所を決定するためには、天然海域における稚魚の生残率を推定することが不可欠であることから、生化学的手法を用いた栄養状態評価法を検討した。
- 方法:飼育実験によって、肝臓のRNA/DNA比、脂質量、蛋白質分解酵素活性と成長率の関係式を確立し、天然海域から採集した個体の各物質の量を分析して栄養状態の評価を試みた。
- 成果:天然海域から採集した稚魚のRNA/DNA比および脂質量、酵素活性を測定した結果、RNA/DNA比、リン脂質量によって栄養状態が推定できる可能性が示唆された。
[成果の活用面等]
- 稚魚の栄養状態が評価できることから加入量予測に活用できるとともに、種苗放流場所の評価が可能になるため、適切な放流場所の選択に活用できる。
[具体的データ]
図1飼育実験によるヒラメ稚魚の成長率とRNA/DNA、リン脂質量の関係
図2ヒラメ稚魚の栄養状態評価法の概念図
投餌量を変えて飼育実験を行い、肝臓中の核酸量、中性脂質量、リン脂質量、タンパク質分解酵素のカテプシンDの活性を分析した結果、RNA/DNAおよびリン脂質量と成長率との間に高い相関が得られた。この関係から天然採集個体の成長率を推定したところ、1.5~4.0(%/体重)程度と良好な成長率が得られた。このことから採集した天然個体は比較的良好な栄養状態であると評価された。