国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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アントクメ海中林の復活をめざして

東京都水産試験場大島分場
[連絡先]04992-4-0381
[推進会議]中央ブロック
[専門]増養殖技術
[研究対象]藻類
[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

  • アントクメは伊豆諸島唯一のコンブ科藻類であり、アワビ、サザエ等の餌料として重要であるが、近年、伊豆大島においてその海中林が急激に衰退した。そこで、アントクメの生活史を明らかにし、人工増殖に向けた取り組みを行なって、アントクメ海中林の復活をめざす。
  • (1)アントクメ胞子体から干出刺激により多数の遊走子を放出させて配偶体を発芽させ、これをPES2%の培養液中で照度5,000lux、明期10時間、暗期14時間、20℃で培養して胞子体幼芽を得ることができた。
  • (2)伊豆大島におけるアントクメ胞子体の生長を明らかにした。


[成果の活用面等]

  • 本調査により得られた知見をもとに、アントクメ海中林が消失した海域への母藻移植を試行中。


[具体的データ]

図1
図1:母藻より放出されたアントクメ胞子体

 

図2
図2:培養中のアントクメ配偶体

 

図3
図3:成長したアントクメ遊走子(葉長約50mm)

 

図4
図4:伊豆大島におけるアントクメ胞子体の葉長と水温の推移
伊豆大島の水深10mの定点より毎月1~2回、アントクメ胞子体30本を採取して葉長を測定した。また、遊走子放出の有無を確認した。
アントクメ胞子体は2月から5月にかけて急速に生長し、6月には葉長63.3cmと最大になった。
 その後、先枯れにより短くなった。遊走子の放出は7月下旬から葉体が流出する9月の下旬まで観察された。