国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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浜名湖のアサリ資源減少実態の把握

静岡県水産試験場浜名湖分場
[連絡先]053-592-0139
[推進会議]中央ブロック
[専門]資源評価
[研究対象]あさり
[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

  • 近年減少傾向が著しい浜名湖のアサリ資源の減少原因を解明するため、アサリ資源の現状と減少の傾向について調査検討する。
  • H9~13年の漁獲量は2~2.7千トン、豊漁期に主漁場であった湖南部の生息密度は78~730(平均281)個/m2(漁獲サイズ:14~119(同50) 個/m2)で、S63~H3年の4~5千トン、419~867(平均647)個/m2(漁獲サイズ:181~258(同217) 個/m2)に比べて極めて低く、H5年頃を境に漁獲サイズ(26mm以上)のアサリ出現量が激減した。この頃を境として漁獲量と前年の夏期稚貝発生量の相関がなくなり、漁場利用実態調査から湖南部みお沿いの漁場が消失したことが明らかになった。更に、この海域を中心にツメタガイの食害による被害が拡大(穿孔殻数/死殻数: 28%(H9)→67%(H13))している状況が明らかになり、湖南部のアサリ資源減少への関与が疑われた。


[成果の活用面等]

  • 資源減少原因の解明、対策の検討により、効率的な資源管理方法及び漁場造成等の推進が行われ、これらによるアサリ資源の安定化が期待される。


[具体的データ]

図1
図1:アサリ漁獲量と湖南部の前年稚貝数

 

図2
図2:現在のアサリ漁場(網掛)と消失した漁場(斜線)
S63年~H13年の湖南部のアサリ分布調査でH5年頃を境に漁獲サイズ(26mm<)のアサリが激減。漁獲量と前年稚貝発生量とはH5年までは高い正の相関がみられた(図1)が、5年以降は正の相関がない。この頃から湖南部みお周辺漁場(図2斜線部)が消失した。