アユにおける細菌性腎臓病(BKD)の発生と防除対策
広島県水産試験場 内水面部
[連絡先]0823-51-2171
[推進会議]内水面
[専門]病理
[研究対象]アユ
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
- サケ科魚類の病気として知られるBKDがアユにおいて初めて発生した。そこでアユへの感染経路を明らかにするとともに、防除方法の検討を行った。
- (1)アユのBKDの原因菌は、サケ科魚類のBKDの原因菌と同じRenibacteirum salmoninarumであることが明らかになり、アユに対しての強い病原性が示された。
- (2)水温18℃と25℃でアユへの感染実験を行った結果、25℃では感染が確認されず、加温による防除の可能性が示唆された。
- (3)アユへの感染源を調査した結果、アユの出荷元の養殖場で飼育されていたヤマメが原因菌を持っており、これが感染源であると推定された。
- (4)アマゴBKDがアユに水平感染することが明らかになるとともに、アマゴ、ヤマメから分離したBKD原因菌がアユに対し病原性を有することが実験的に示された。
[成果の活用面等]
- アユへのBKDの感染経路が確認されたことで、アユBKDの被害拡大を防ぐことができ、また感染した場合でも加温による治療の可能性が示された。
[具体的データ]
図1:BKDアユ分離菌のアユおよびヤマメへの病原性
図2:水温別の死亡率
BKDのアユから分離した原因菌は、約1000細胞の注射接種で全てのアユを死亡させたことから、強い病原性を持っていることが明らかになった。また、注射後のアユを18℃と25℃で飼育した結果、25℃では死亡は確認されず原因菌も体内から検出されなかった。
表:同じ養殖場で飼育されていたマス類のBKD原因菌の保菌検査
アユへのBKDの感染経路を推定するために、出荷元の施設で飼われていたマス類の保菌検査を行った。その結果、隣接した池のヤマメに保菌が認められ、これがアユへの感染源であると推定された。