人為感染によるアユ冷水病ワクチンの有効性の評価
滋賀県水産試験場 環境病理担当
[連絡先]0749-28-1611
[推進会議]内水面
[専門]病理
[研究対象]あゆ
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
- アユ冷水病は、養殖・天然水域で大きな被害を及ぼしており、その対策としてワクチン開発が切望されている。開発するアユ冷水病ワクチンの効果を、適正かつ簡便に評価するため、従来の注射法に代わる人為感染方法を開発する。
- 試作ワクチンを評価する際に、冷水病は培養菌を用いた感染方法では安定的に感染が成立しなかったが、凍結保存したアユ冷水病死魚を用いて感染を行うことにより自然発病と同様の病状を再現できた。
[成果の活用面等]
- ワクチン評価が一律に適時・適正に行える。
[具体的データ]
(1)自然発病状態の把握
図1.自然発病による冷水病発生時の水温別生残率
飼育水温を8、15、19および24℃に設定し、自然発病の冷水病の発病状況を観察した結果、24℃では発生はなく、8、15、19℃間では水温の低下で発症は遅延したため、病勢は19℃で最も高くなるのではないかと推察された。
(2)凍結冷水病魚を用いた感染
図2.凍結病魚を用いた冷水病人為感染試験結果
アユ冷水病は、自然発病魚から容易に水平感染することが明らかにされている。そのため、ワクチン評価には病魚と同居させる方法が最も良いが、常に病魚を維持しておく必要がある。そこで、水平感染を適時に行うため、凍結保存した冷水病魚を健康アユ飼育水槽に投入する感染方法を検討した結果、安定して高い死亡率が得られ、死亡魚は自然発病と同様の症状を示した。