隠岐諸島周辺海域におけるスルメイカ卵塊およびふ化幼生の分布調査
鳥取県水産試験場海洋部海洋資源科
[連絡先]0859-45-4500
[推進会議]日本海ブロック
[専門]資源生態
[研究対象]するめいか
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
- スルメイカ秋生まれ群の主要産卵場の一つである可能性の高い隠岐諸島周辺海域において、スルメイカの生活史初期の生態を明らかにする。
- (1)隠岐諸島の北方海域2地点においてスルメイカ卵塊を構成していたと思われるゼリー塊を発見した。
- (2)表面海水と混合し、スルメイカ卵の生残に適した水温範囲(15-23℃)の水塊と、非混合層(約10℃以下)の水塊の間にある水温躍層の直上に、このゼリー塊は分布していた。
- (3)この結果から、再生産海域において水温躍層より上方で産出された卵塊が、躍層付近まで沈降し、その深度に滞留することが推定された。
- (4) ゼリー塊が水中カメラのロープに接触して崩壊するのが観察された。
- (5)このことは混合層が海底まで達する場合、ふ化が終わる前に卵塊が海底まで沈降し、海底と接触することにより崩壊することを示唆している。
[成果の活用面等]
- スルメイカの資源生態を明らかにするには、産卵場を探索し、産出された卵を採集し、発生段階や採集状況を分析する必要がある。今回得られた成果によって、卵の採集を試みる際に探索すべき水塊を、水温躍層の直上付近の水塊に限定できることになった。 また、水温躍層が形成される水深によっては卵塊が崩壊し、資源変動の要因となるという仮説を導くことができた。
[具体的データ]
図:スルメイカの卵塊と思われるゼリー塊を発見した水深帯の水温及び海水密度