アワビの自給型陸上養殖システムの考案
富山県水産試験場
富山県水産漁港課
[連絡先](076)475-0036
[推進会議]日本海ブロック
[専門]増養殖技術
[研究対象]こんぶ・あわび
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
- 海洋深層水の低温安定性および、窒素やリンなど海藻の栄養源物質濃度の高さを利用した陸上養殖技術を開発する。
- (1)富山湾では自生できない冷水性海藻のマコンブを通年、生産できる陸上連続培養システムを開発した。
- (2)このコンブ培養システムとアワビ養殖を組み合わせ、生産されたマコンブをエゾアワビに給餌する自給型多段式アワビ養殖システム(図3)を考案した。
[成果の活用面等]
- この自給型多段式アワビ養殖システムにより、深層水を取水している所であれば、コンブを餌料としたアワビの陸上養殖が可能である。
[具体的データ]
コンブ培養システムは、切断したマコンブの再生長能を利用している(図1,2)。また、切り取ったマコンブの葉状部片を水槽内で維持すると、成熟して次世代の種となる遊走子を放出し、新たなマコンブの幼体を供給できる。回収した幼体を低水温、低照度で維持すると、生長を抑制しながら約1年間保存できる。試算によれば、40 cm× 40 cmの基盤に150本のマコンブを付着させ、それを3 m×1 m×1 m(深さ)の水槽に10セット配置すると、1水槽当たり毎月30 Kgのマコンブを生産できる。このマコンブで約700~2,000個のアワビ稚貝(殻長40 mm)を70 mm にまで養殖することができる。
図1 切断コンブの培養方法
図2 切断コンブの再生長グラフ
図3 自給型多段式アワビ養殖システム