国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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キジハタの混合養殖飼育による成長促進効果について

福井県水産試験場 浅海資源部
[連絡先]0770-26-1331
[推進会議]日本海ブロック
[専門]飼育環境
[研究対象]キジハタ
[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

  • キジハタは他の魚種との混合で飼育すると、成長が促進されることが判明しているため、混合養殖に有効な技術を明らかにし、養殖期間の短縮とキジハタ養殖の普及定着を図る。
  • (1)キジハタ、マダイ、シマアジの種苗を組み合わせた魚種選択試験では、マダイとの組み合わせが最も適していることが明らかとなった。
  • (2)キジハタとマダイの種苗を用いて、両者の混養比率を変えた試験では、キジハタの比率を高くして飼育することで、キジハタの成長が促進されることが明らかとなった。


[成果の活用面等]

  • 混合養殖はキジハタの成長を促進するうえで有効であり、今後、養殖業者に対しキジハタ養殖の普及定着を図る上で重要な知見である。

[具体的データ]

図1
図1 魚種選択試験(当才魚)におけるキジハタの成長

 

図2
図2 混養比率試験(2才魚)におけるキジハタの成長


 魚種選択試験として、キジハタ(平均全長14.3cm、体重50g)、マダイ(平均尾叉長6.3cm、体重50g)、シマアジ(平均尾叉長13.5cm、体重46g)の当才種苗を用いて、8月4日から11月14日まで102日間配合飼料で飼育した。キジハタの比率はシマアジとマダイの混養区で1時1分、3魚種混養区で1時1分:1とした。キジハタ単独区(対照区)の成長量を基準値1とし、各混養区の成長量と比較した結果、キジハタの成長度はマダイ混養区が全長で1.07、 体重で1.13と最も高い値を示した(図1)。
 混養比率試験ではキジハタ2才魚(平均全長22.9cm、体重212g)、マダイ1才魚(平均尾叉長18.2cm、体重93g)を用い、5月21日から9月1日まで104日間配合飼料で飼育した。キジハタの成長度は、全長・体重ともに50%区と75%区で単独区よりも成長が良く、特に50%区の全長は1.15と、最も高い値を示した(図2)。また、マダイは75%区の尾叉長で1.18、体重で1.20と単独飼育区よりも高い値を示したが、その他の区は単独飼育区と大差がなかった。
 これらの結果から、キジハタはマダイとの混養が最も適し、キジハタの比率をやや多く収容することで、成長が促進されることが示唆された。