国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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アジメドジョウ(Niwaella delicata)の性成熟と産卵について

[要約]
 アジメドジョウの産卵前後における生殖腺体指数および抱卵数(目視で計数できる卵数)を調査した。雌の性成熟サイズと、産卵個体の割合(産卵したと思われる雌個体数/雌個体数)を推定した。


福井県内水面総合センター
[連絡先]0776-53-0232
[推進会議]内水面
[専門]飼育
[対象]アジメドジョウ
[分類]研究


[背景・ねらい]
 アジメドジョウ資源増殖手法のひとつとして種苗放流を考えている。そこで、アジメドジョウの生息する和泉村飼育施設を使った種苗生産の実用化に向け、産卵成熟にかかる基礎的知見を得る。


[成果の内容・特徴]

  1. 平成12年10月から平成13年5月まで、毎月1回、雌の生殖腺体指数と抱卵数を調査した。
  2. 和泉村で採捕したアジメドジョウ雌の性成熟サイズは、全長約8cmであると推定した。
  3. 今回の試験において、産卵したと思われる個体の割合は88個体中82個体であった。回収した産出卵の数は5,235個(うち死卵数270個)で、雌1尾当り63.8個であった。
  4. 月ごとの平均抱卵数の推移に、明らかな増減は見られなかった。このため、産卵前(平成12年10月~平成13年4月)のデータから、全長(X)と抱卵数(Y)の関係式を求めたところ、Y=37.356X―90.75(R2=0.708、N=235)が得られた。

[成果の活用面・留意点]
 今回得られた1尾当りの産出卵の数から、種苗生産・放流だけでは高い増殖効果は得られない。そこで、増殖効果を高めるため、禁漁区、禁漁期間や漁獲サイズの設定などの規制も併せて行う必要があると考えられる。種苗生産技術の開発とともに、このための調査も併せて実施する必要があろう。


[具体的データ]

図1  図2

 

表1

 

表2
表2 産卵時の推定抱卵尾数


[その他]
研究課題名:有用魚種生態調査事業
予算区分:県単
研究期間:12年度(平成9年~13年度)
研究担当者:渥美正廣・岡部健一