国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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自発摂餌式給餌の養殖現場への応用

[要約]
 自発摂餌式給餌法を現場に応用するために、養殖場で使用可能な装置の開発と適正報酬量等の検討を実施し、その結果に基づき実際に民間養魚場において自発摂餌式給餌法でニジマスを飼育した結果、良好な成績が得られた。


群馬県水産試験場 箱島養鱒分場
[連絡先]0279-59-3016
[推進会議]内水面
[専門]魚類栄養
[対象]淡水魚
[分類]普及


[背景・ねらい]
 魚が自らの食欲に応じて餌を得ることが出来る自発摂餌式給餌法は、給餌作業労力の低減、魚の生理状態に合致した適正給餌の実現等、優れた特徴を持っている。しかし、日本では現場で活用できる実用規模でのデータは皆無である。そこで、本技術の普及を目的として、実用規模で使用可能な装置の開発とニジマスの飼育試験等を実施した。


[成果の内容・特徴]

  1. タイムスイッチ、タイマー等を組み込んだコントロールユニットと養殖研究所で開発したスイッチを既存の自動給餌機に接続し、養殖現場で使用可能な自発摂餌式給餌システムを開発した。
  2. ニジマス未成魚を用い、報酬量(スイッチ入力1回あたりの飼料落下量)を定期的に増加させた場合と固定した場合を比較した結果、報酬量を初期重量1kgあたり0.05gに設定すると、77日間の試験期間中において総摂餌量、成長に差は認められず、養殖現場における報酬量は初期放養量1kgあたり0.05g/回を目安に設定すればよいことが示唆された(図1、2)。
  3. 民間養魚場において、自発摂餌式給餌法と従来からの人手による給餌法をニジマス未成魚を用いて比較したところ、飼育成績は自発摂餌式給餌法のほうが良好な結果であった(表1)。


[成果の活用面・留意点]
 これまでの研究によって、自発摂餌給餌法は我が国のニジマス養殖現場においても活用可能であることが明らかとなった。また、民間養魚場においても従来型給餌法に比べ好成績であったことから普及あたって大きな技術的問題は無いと考えられる。しかし、飼育開始時の報酬量の設定に当たっては自発摂餌式給餌法に精通した技術者が行うことが必要であろう。


[具体的データ]

図1

 

図2

 

表1

[その他]
研究課題名:養鱒汚濁負荷軽減技術開発試験 -自発摂餌普及試験-
予算区分:県単
研究期間:平成13年度(平成11~15年度)
研究担当者:小西浩司