国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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2024(R06).11.25 クエと似たミナミクエに学名を与え新種として公表

令和6年11月25日

国立研究開発法人水産研究・教育機構

 

クエと似たミナミクエに学名を与え新種として公表

ポイント

  • ハタ類のクエは高値で取引される高級魚です。よく似たミナミクエは南シナ海に分布する重要種です。
  • クエとミナミクエが同じ学名で呼ばれる混乱がありました。調査の結果、Epinephelus bruneus(エピネフェルス・ブルネウス)はクエに当てはまり、今回、ミナミクエには新しい学名Epinephelus randalli(エピネフェルス・ランドールアイ)を与えました。
  • 2種の学名が確定したことで、科学の知見に基づく資源管理・養殖技術の開発などに貢献し、異なる種の魚が混用される問題を未然に防ぐことに貢献します。

概要

 水産研究・教育機構、神奈川県立生命の星・地球博物館及び、ベトナム科学技術アカデミー (Vietnam Academy of Science and Technology) は、高級魚として高値で取引されているハタ科魚類のクエ(図1a)とよく似ているミナミクエ(図1b)(注1)を新種Epinephelus randalli(エピネフェルス・ランドールアイ)として公表しました。

 日本では、クエは学名で Epinephelus bruneus(エピネフェルス・ブルネウス)と呼ばれてきました。一方、中国などではクエとよく似た別種(=ミナミクエ:本研究で与えた新和名)が同じ学名で呼ばれていました。

 学名とは国際的に正式な共通名で、生物学では学名によって種を特定します。そのため違う種が同じ学名で呼ばれると、資源管理や養殖技術も混乱が生じます。そこで詳しく調べたところ、エピネフェルス・ブルネウスはクエを指す学名であること、ミナミクエにはまだ学名がないことがわかり、後者に学名を与えて新種として報告しました。分類学での新種とは、学名が新たに公表された種のことで、必ずしもそれまで未知の生物であったとは限りません。

 この2種の学名が確定したことは、科学の知見に基づく資源管理・養殖技術の開発などに貢献します。また、本研究の成果を広めることで関係者の注意を促し、異なる種の魚が混用される問題を未然に防ぐことに貢献します。

 

この研究成果は、2024年 11月 25日に、Species Diversity(DOI:10.12782/specdiv.29, URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/specdiv/29/2/29_SD24-04/_article/-char/en)にオンライン掲載されました。 

論文名:Taxonomic status of the commercially important grouper, Epinephelus bruneus and E. moara (Osteichthys: Perciformes: Epinephelidae), with the redescription of E. bruneus and the description of a new species. 
著 者:Hoshino, Kouichi; Senou, Hiroshi; Nguyen, Van Quan

 

詳細(PDF:561KB)
 

 

お問い合わせ先

(研究担当者)

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 研究戦略部 標本管理室 星野 浩一

e-mail:hoshino_koichi44@fra.go.jp TEL: 095-860-1611(2109)

神奈川県立生命の星・地球博物館 和田英敏(瀬能宏 代理)

e-mail:wada.kpm-ni@nh.kanagawa-museum.jp

(広報担当者)

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 本部経営企画部 広報課

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