千葉県沿岸における平成13年のイセエビ豊漁とその原因
[要約]
平成13年の千葉県沿岸でのイセエビ漁は豊漁で,漁獲量は400トン前後の見込みである。これは,11年に来遊・着底した幼生が多かったために,それに由来する今年の漁獲資源が多くなったことが主な原因と考えられた。
千葉県水産研究センター 資源環境部資源研究室
[連絡先]0470-43-1231
[推進会議]中央ブロック
[専門]資源評価
[対象]いせえび
[分類]調査
[背景・ねらい]
イセエビは千葉県の内房から外房地区の広い範囲で,沿岸小型船漁業の主要対象資源の一つとなっている。生産の安定と増産に向けた資源管理を行う上で,資源水準の予測技術の開発が望まれており,幼生来遊量と漁獲量との関連の調査を継続している。平成13年はこれまでにない豊漁となっており,その原因について幼生来遊量との関係を検討した。
[成果の内容・特徴]
平成13年10月現在の主要7漁協におけるイセエビの漁獲量は278トンで,前年同期の162%と大幅に増加した。千葉県全体での漁獲量は,12年が250トンであったので,13年は400トン前後となる見込みである。
プエルルス幼生は6月~10月に沿岸に着底し,その1・2年後に漁獲対象となり,コレクター調査によるプエルルス幼生の年間採集数とその1・2年後の平均漁獲量との間には相関があると報告されている(田中ら,2001)。千葉県千倉町地先で毎年5~11月に実施しているコレクター調査で,7年以降のプエルルス幼生採取数と漁獲量との関係をみると,11年の幼生採取数は7~10年の2~14倍に増加し,これに良く対応して,着底から1・2年後(12・13年)の平均漁獲量(13年の漁獲量を400トンと仮定)も増加した。このことから,13年の豊漁は11年の幼生来遊量の増加が主な原因であると考えられた。
また,13年の幼生採取数は11年と同様に多いことから,今後1・2年間,イセエビ資源は高水準で推移するものと思われる。
[成果の活用面・留意]
千葉県水産研究センター発行の「漁海況旬報“ちば”」で情報の提供を行った。
[具体的データ]
[その他]
研究事業名:重要浅海水産資源生態研究事業
予算区分:県単事業
研究期間:昭和50年から
研究担当者:柴田輝和
発表論文等:なし