紀伊水道におけるクルマエビの放流効果の把握
徳島県立農林水産総合技術センター水産研究所 海洋資源担当
[連絡先]0884-77-1251
[推進会議]瀬戸内海ブロック
[専門]資源管理
[研究対象]くるまえび
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
・長期間追跡可能な「尾肢切除法による標識放流」を実施することによりクルマエビの種苗放流効果を推定する。
・2001年9月に標識放流した約3万尾・平均体長41mmのクルマエビは2002年1月から漁獲されはじめ,2002年1月~2003年3月の期間に標識クルマエビは総計2,150尾(標識尾数の7.2%)が漁獲されたと推定された。
これらの結果により,(1)夏季に紀伊水道に放流したクルマエビ種苗は,翌年から15cm以上に成長して漁獲されること,(2)(中間集計値ではあるが)放流種苗の生産コストを約30円以下に抑える必要があること,が明らかになった。
[成果の活用面等]
・様々な条件下での放流効果を比較することにより,効果的な種苗放流の方法を明らかにすることができる。
[具体的データ]
図:標識クルマエビの成長:9月の放流時の平均体長41mmから,約4ヶ月後の翌年1月には150mm前後,5月以降の雌は体長180~200mmに成長した。
調査で漁獲が確認された標識クルマエビの平均体重は68.5gであった。
表:2003年3月末現在,標識クルマエビの7.2%が漁獲されたと推定された。この時点での計算では,クルマエビの生産コストは29.9円/尾以下にする必要がある。