国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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カタクチイワシ耳石中のSr:Ca比による発生水域推定の試み

瀬戸内海区水産研究所・海区水産業研究部
[連絡先]0829-55-3563
[推進会議]瀬戸内海ブロック
[専門]資源生態
[研究対象]いわし
[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

  • 瀬戸内海に分布するカタクチイワシには太平洋系と瀬戸内海系の2系群が 混在している。しかし、成魚について、その発生海域を特定する手法は開発されていない。 このため、資源管理単位としての系群が便宜的なまま設定されている。そこで、耳石中の微量元素を分析することにより発生海域、回遊履歴が推定できるか否かを検討する。
  • (1)カタクチイワシ耳石表面のSr:Ca比と生息域の塩分との間には正の相関が示された。
  • (2)Sr:Ca比を計測することにより低塩分水域(主に極沿岸域)に分布した経験の有無についての推定が可能となった。


[成果の活用面等]

  • 発生海域の特定までにはおよばないが、河口域等の低塩分水域で発生した群れの区別には使用することが可能。資源管理単位の海域設定等に寄与し得る。


[具体的データ]

表1
表:荷電粒子励起X線分析器によるカタクチイワシ耳石表面の微量元素分析結果
(京都大学大学院荒井助教授との協同研究)
耳石の主構成元素であるCa濃度を400391ppmとして計算した値

 

図1
図:カタクチイワシ耳石表面のSr:Ca比と生息域の塩分との関係