アコヤガイ無病貝の育成
愛媛県水産試験場 増殖室
[連絡先]0895-29-0236
[推進会議]水産養殖
[専門]病理
[研究対象]あこやがい
[分類]普及
[ねらい・目的と成果の特徴]
- 平成8年から全国の真珠養殖漁場でアコヤガイを大量へい死させたアコヤガイ感染症対策として、隔離により無病貝の育成を試みた。
- 従来の既存漁場から1.8km離れた隔離漁場で、稚貝から母貝まで 約1年半養殖業者に依頼し育成管理した結果、病状を全く認めない無病貝(平成13 年11.6万個、平成14年5.5万個)を育成することができた。また、隔離漁場の貝は高水温期にも感染症の発症がないため順調な成長を示した。なお、使用した稚貝は愛媛県中予栽培漁業センターで生産した健康な稚貝である。
[成果の活用面等]
- 隔離手法を普及し、アコヤガイを健康な状態で育成管理できれば高品質の真珠が生産でき、真珠産業の回復につながるものと期待される。
[具体的データ]
図 隔離漁場及び既存漁場図
図1 成長の比較
9~10月の高水温期に病貝は衰弱し成長は停滞するが、隔離漁場の貝は健康なため順調な成長を示した。
表 隔離養殖試験結果
試験貝を隔離漁場と既存漁場で育成した結果、病状の進行の目安となるa値(貝柱の赤味度合を色彩色差計で測定)が隔離区では全く上昇しなかったのに対し、既存区では上昇した。
また、病状の進行とともに損傷を受ける組織についても隔離区では全て正常であった。
なお、2002年も引き続き試験を実施した結果、健康な無病貝が育成できたことが確かめられた。
隔離区の貝の育成管理に当たっては既存漁場の海水に直接触れることのないよう注意するとともに、海水を使用する場合は殺菌後中和して用いた。