国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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環境ホルモンによるサクラマス雄の性行動の抑制

養殖研究所・日光支所・繁殖研究室
[連絡先]0288-55-0055
[推進会議]水産養殖推進会議
[専門]魚介類繁殖
[研究対象]さけ・ます類
[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

  • サケ科魚類の回遊・性行動は性ホルモンによって制御されている。したがって、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)によってそれらの行動が影響を受けると考えられた。行動観察実験により回遊及び性行動へのかく乱物質投与効果を明らかにした。
  • ノニルフェノールやビスフェノールAの投与は河川遡上行動には影響しなかったが、性行動の頻度を低下させた(図1)。
  • 性行動に影響の現れない濃度でも、雌の性フェロモンに対する雄の行動反応を顕著に低下させ た(図2)。
  • これらのことから、内分泌かく乱化学物質は雄の性行動を抑制するだけでなく、雌雄の遭遇の機会をも減少させる可能性があることが示された。

[成果の活用面等]

  • 内分泌かく乱化学物質の大量投与がサケ科魚類の回遊・産卵行動に及ぼす急性影響に関しての知見が得られた。今後は野外環境における汚染実態に即したより正確な評価を行うため、低濃度の長期曝露による慢性影響を解析する必要がある。


[具体的データ]

図1
図1 サクラマス雄の性行動に及ぼす内分泌かく乱物質(Nonyl:ノニルフェノール,Bis:ビスフェノールA)投与の影響
Quivering: 雌への求愛行動,Attending: 雌への寄り添い行動

 

図2
図2 雌性フェロモンに対するサクラマス雄の行動反応に及ぼすノニルフェノール5μg(Nonyl.5)投与の影響