国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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イワガキ稚貝の低水温耐性について

岩手県水産技術センター 増養殖部
[連絡先]0193-26-7917
[推進会議]東北ブロック
[専門]増養殖技術
[研究対象]かき
[分類]普及


[ねらい・目的と成果の特徴]
ねらい:
平成13年の春から初夏にかけて、岩手県中南部を中心に初めて確認された養殖イワガキ当歳貝の大量へい死について、原因および対策を検討し、安定生産技術を確立する。
成果の特徴:

  1. 飼育試験を行ったところ、イワガキ稚貝は低水温に弱く、大量へい死は、冷水の接岸が主な原因で発生したものと考えられた。
  2. 大量へい死の防止策としては、より大きいサイズで冬季の低水温期を迎える必要があり、そのためには成長を促進する早期の沖出し注1が有効であることが分かった。

    
[成果の活用面等]
 岩手県でのイワガキ養殖において、安定的な生産と養殖期間を短く縮めることに有効な早期の沖出し(5~6月頃)を推進することとなった。


[具体的データ]

図1


 平成13年冬に県中南部を中心に接岸した冷水が大量へい死の一因と推察されたことから、低水温の影響について飼育試験により調べた。その結果、小型のイワガキ稚貝は低水温の影響を受けやすく、5℃以下の低水温の状態が長期間続くと、へい死することが確認された。(図1 イワガキへの低水温の影響)

 

図2


人為催熟注2した親貝から早期採卵して生産した種苗を早期に沖出しすることにより、高水温期に出来るだけ成長させ、より大きいサイズで低水温期を迎えることができる。この早期の沖出しにより、安定的な生産が図られ、更に、養殖期間も短く縮められる。(図2 沖出し時期による成長差)

注1 沖出し:海の養殖いかだにイワガキを垂下し、養殖を始めること
注2 人為催熟:生物を人為的に成熟させること