サンマの成長を餌プランクトン段階からモデル化
東北区水産研究所混合域海洋環境部海洋動態研究室
[連絡先]022-365-9928
[推進会議]東北ブロック
[専門]生物生産
[研究対象]海洋生態系
[分類]研究
[ねらい・目的と成果の特徴]
- 海洋環境の季節変動⇒栄養塩濃度の変化⇒植物プランクトン変動⇒動物プランクトン変動⇒サンマの成長変動といった餌プランクトン段階からのサンマ成長変動のモデル化を実現。黒潮続流,親潮前線を越える度に、成長が速まり、産卵期に急激に体重が減少することが示された。
[成果の活用面等]
- 温暖化,気候変動に対する資源量変動予測
[具体的データ]
サンマは黒潮域で生まれ、混合域,親潮域へと回遊し,動物プランクトンを食べて成長し、その後産卵のために南下し、夏季に再び親潮域に回遊する(図1)。各海域および成長段階における成長に関する各種パラメータの餌選択性,水温依存性,餌密度依存性,体重依存性等を観測データをもとに定式化し、サンマの成長モデルを構築した。各海域における餌生物量の変動を低次生態系モデルで再現し、その結果をサンマ成長モデルに結合させて、サンマの体重変化を再現した。
サンマの寿命を2年と仮定して計算した結果、モデル内で再現されたサンマの体重の変化(図2)から、黒潮続流を越えて混合域へ、あるいは親潮前線を越えて親潮域に入ると、餌環境が良くなり急激に成長し、逆に産卵期にはかなり体重が減少することが示された。これら体重が変化するサンマに匹数の変化をかければ資源量が得られ、資源量予測が可能となる。