岩手県における秋サケ不漁原因の究明と対策
岩手県水産技術センター 漁業資源部
[連絡先]0193-26-7915
[推進会議]東北ブロック
[専門]資源評価
[研究対象]さけ・ます類
[分類]行政
[ねらい・目的と成果の特徴]
ねらい:平成11年度以降来遊数が減少している秋サケ資源の減少要因の究明を図るとともに、人為的に改善できる手法を検討し、増殖事業の展開に資する。
成果の特徴:
- 過去に放流されたサケ稚魚の体重、肥満度等の低下が来遊数減少の主要因とは認められなかった。
- サケの年級毎の来遊数は、稚魚放流年5月の親潮出現割合が高い年に多く、また、コウナゴ漁獲が漁期後半に偏る年に少ない傾向があり、幼魚の餌料環境が生残に影響を与えていると推察された。
[成果の活用面等]
本研究の結果、サケ幼魚の餌料環境が良好な時期(3月中旬~5月上旬)に稚魚放流を行えるように、県内各ふ化場のふ化水温から算定した卵収容計画を作成することになり、ふ化放流事業への活用が期待される。
[具体的データ]
図1 過去に肥満度8以上で河川放流したサケ稚魚の尾数と年級の来遊数に相関は認められなかった。この他、稚魚の体重、放流時期、海中飼育放流数の増減についても検討したが、相関は認められなかった。
図2 高い回帰率を示した年級が放流された5月の海況は、親潮の南下が強く、かつ岩手県沿岸に接岸する傾向を示しているが、低い回帰率の年級が放流された5月の海況は、親潮の南下が弱い、または接岸傾向が認められなかった。