ミズクラゲを用いた塩蔵クラゲ加工品の開発
[要約]
海の邪魔者でしかなかったミズクラゲを加工処理することにより、従来からある食用クラゲ加工品(エチゼンクラゲ・ヒゼンクラゲ)に近い食感をもったミズクラゲ加工品を開発することができた。
大分県海洋水産研究センター 企画・海洋資源利用部
[連絡先]0972-32-2155
[推進会議]水産利用加工
[専門]加工流通技術
[対象]他の水産動物
[分類]普及
[背景・ねらい]
夏季になると沿岸域で発生するミズクラゲは、以前は発生量が少なかったことなどから、水産資源としての認識はなく、ただ漁労作業の邪魔者として扱われていた。しかし近年、県下の内海域で大量に発生するようになったミズクラゲは、各種漁業に影響を与えるようになり、水産現場ではミズクラゲ対策が大きな問題となっている。
当センターでは、この大量に発生するミズクラゲの有効利用を図ることを目的に、塩蔵加工する方法を開発することとした。
[成果の内容・特徴]
- 製造方法
ミズクラゲのぬめりは、ミズクラゲを容器に入れ清水中で1時間程度放置すると、クラゲの体表から分離して流し去ることができる。ミズクラゲからの脱水は、容器内でぬめりを除いたミズクラゲと、ミズクラゲ重量に対し20%の食塩(ミョウバン5%混合塩)とを混ぜ合わせ、12~16時間放置する。脱水されたミズクラゲは、容器内のミズクラゲ遊離水に浮いた形で存在する。この時、容器の底には余った塩が沈殿している。浮かび上がったミズクラゲを取り除き、沈殿塩を散逸させないよう容器内の水分を静かに捨て去り、再び底に残った沈殿塩と取り除いたミズクラゲを混ぜ合わせ、かご内に4~6時間程度放置する。ミズクラゲは更に脱水され、クラゲの遊離水はかごの外に流れ去り、「塩蔵ミズクラゲ加工品」を得る。
図1に「塩蔵ミズクラゲ加工品」を、図2に加工方法と工程毎の歩留りをしめす。
- 戻し方
水の中で強くもみ洗いして塩をよく抜き、80℃程度の湯中につけ込む。全体が縮れてきたらすぐに水の中に入れ、20~30分さらすと歯切れのよいクラゲとなる。
[成果の活用面・留意点]
このミズクラゲ加工品は安価でしかも簡易に加工できることから、漁業者個人やグループでの製造加工に適しており、今後この技術を県内漁業者に普及することにより資源の有効利用と副収入による経営安定につなげることができるものと期待される。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:ミズクラゲを用いた塩蔵クラゲ加工品の開発
研究期間:2001年度
研究担当者:安部和智
発表論文等:未発表