国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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アジ、サバの簡単な脂質含有量推定方法の開発

[要約]
魚類の簡易、迅速、安全、安価、高精度な脂質含有量推定方法についてアジ、サバを使用して検討したところ、アジ、サバともにフィレーでの比重(密度)測定法による脂質含量推定法が価格、精度、安全性の点で有効であることがわかった。


鳥取県産業技術センター・応用技術部・食品技術科
[連絡先]0859-44-6121
[推進会議]水産利用加工
[専門]品質評価
[対象]あじ、さば
[分類]普及


[背景・ねらい]
 水産物の品質や価格に大きく影響している脂質含量を数値で知りたいという要望が強いことから、現場において簡易、迅速、安全、安価、高精度に水産物脂質含量を判断するための推定システムを開発する。


[成果の内容・特徴]
(1)肥満度から脂質含量を推定するのは難しかった。(図2)
(2)ラウンド、ドレス、フィレーの比重(密度)を図1の方法で測定し、脂質含有量との相関をみたところ、ラウンドとは相関が見られなかった(図3)が、他はいずれも比較的高い相関が得られた。(図4~7)
・比重計算式:比重=空気中重量/(空気中重量-水中重量)
(3)比重測定により脂質含量を推定するにはマアジ、マサバともにドレスよりフィレーのほうが精度が高かった。脂質含有量推定計算式ならびに計算式から得られた数値と実測脂質含有量とのずれを表す標準偏差を以下に示す。
・マアジ推定脂質含有量(%)=-630.15×マアジフィレー比重+675.60 (標準偏差1.38)
・マサバ推定脂質含有量(%)=-696.58×マサバフィレー比重+751.70 (標準偏差1.44)
(4)比重測定用試料調製の際には、鰭、ハラスの骨を丁寧に除去し、尾部、ゼイゴを残すこと、腹部に空気が溜まらないように切り込みを入れること、比重測定に使用する水は定期的に交換すること等測定条件をできるだけ統一することが測定精度を高めるためには必要であった。


[成果の活用面・留意点]

  • 簡便かつ精度の高いアジ・サバの脂質含量推定方法が得られたので、これを普及することによって、加工品製造現場における実用的な方法として活用することができる。
  • 今後は他魚種への応用を検討するとともに、比重法では不可能であった非破壊での脂質含量推定方法について検討する。


[具体的データ]

図1              図2

 

図3 図4

 

図5図6


図7
 


[その他]
研究課題名:水産物脂質含有量の簡易・迅速測定システムの開発
研究期間:平成12年度~14年度
研究担当者:小谷幸敏,清家裕
発表論文等:なし