ポリリジン製剤による蒲鉾の保存性向上技術
[要約]
蒲鉾にポリリジン製剤を添加すると保存性が向上し、合成保存料(ソルビン酸)に匹敵する効果が得られた。
福井県農業試験場・食品加工研究所・加工開発研究グループ
[連絡先]0776-61-3539
[推進会議]水産利用加工
[専門]加工流通技術
[対象]魚類、すけとうだら
[分類]普及
[背景・ねらい]
近年食品に対してみられる消費者の健康・安全性志向の高まりとともに、合成保存料を使用しない製品が望まれているが、県内製造の蒲鉾のほとんどには合成保存料が使われている。福井県の蒲鉾は、みりんを大量に配合するという特徴を持っており、これが影響するためか、天然系保存料等への代替方法を充分に把握できずにいる。そこで合成保存料と同等またはそれ以上の保存性向上効果を示す天然系保存料等を明らかにし、県内製造蒲鉾への利用技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
- アミノ酸(グリシン)、酵素(リゾチーム)、しらこたん白製剤(プロタミン)、ポリリジン製剤(放線菌由来抽出物)を単独または混合で蒲鉾に添加した場合の保存性を検討したところ、ポリリジン製剤を単独で添加した蒲鉾の保存性は、その他のものに比べ優れていた(図1)。
- 県内製造の蒲鉾には0.16%のソルビン酸が添加されているが、この効果に相当するポリリジン製剤の添加量は、蒲鉾全量に対し0.84%であった(表1)。
- 蒲鉾に対するポリリジン製剤の保存性向上効果は、みりん添加量の影響をほとんど受けなかった(表2)。
[成果の活用面、留意点]
蒲鉾に対する天然系保存料の有効性が明らかにされた。ポリリジン製剤を水によく溶かして加えることで、すり身中に均一に混合され、保存性のバラツキを抑えられるため、業者に普及する際はこの点を指導する必要がある。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:天然系保存料等による蒲鉾の保存性向上技術の確立
予算区分:県単
研究機関:平成12年度(平成10~12年)
研究担当者:池田華子、西川清文、鈴木聖子
発表論文等:
1)西川清文ら 平成10年度食品加工に関する試験成績, 福井食加研, pp29(1999)
2)鈴木聖子ら 平成11年度食品加工に関する試験成績, 福井食加研, pp19(2000)
3)池田華子ら 平成12年度食品加工に関する試験成績, 福井食加研, pp14(2001)