地域で漁獲される水産物を利用した特産加工品の開発
[要約]
南伊豆(石廊沖)で漁獲されたスルメイカを原料とした「沖漬け」、戸田の底曳網で漁獲されるニギスを原料とした「調味すり身」、伊東で漁獲されるボラを原料とした「煎餅」等を開発した。
静岡県水産試験場利用普及部加工研究室
[連絡先]054-627-1818
[推進会議]水産利用加工
[専門]加工流通技術
[対象]魚類
[分類]普及
[背景・ねらい]
地域で漁獲される低利用の水産物や価格変動の大きい水産物を用いて特色ある加工品を開発し、市場価格の安定化、漁獲物の高付加価値化を進めることにより、漁家収入の安定化、地元水産物のPRを通じて地域の活性化を図る。
[成果の内容・特徴]
- 地元漁協、市町村、県漁連、地元加工業者の協力を得て、イカ沖漬け製品およびニギス調味すり身を開発した。
- イカ沖漬け製品は、漁獲直後に漁船上で漬け込んだメリットを活かす為、従来の既存製品と異なり薄味かつ高鮮度な刺身感覚の食感を有するものとしたが、冷蔵1日でその特徴が失われる(図1)ため、凍結品とした。なお、冷蔵したものは臭いの評価は落ちたが、熟成効果で旨み、まろやかさの評価は徐々に向上し、塩辛様の製品(9日目)になった。
- ニギスはゲル形成能及び冷凍耐性に優れ、味が良いため、すり身好適魚種であった。開発したすり身はニギスのほかアオメエソ、トウジンなどを原料とし味噌、野菜等を加えた調味すり身とし、戸田の伝統の味を簡便に味わえる料理素材とした。また、多くのものを添加した結果、弾力は落ちたが特色あるものになった。なお、ニギス加塩すり身は坐りが速く、解凍後の取り扱いに注意が必要であった。
- 開発した製品についてアンケートを実施し、どちらも高い評価を得た。(表1)
- 開発されたいか沖漬けは南伊豆町漁業協同組合が平成11年に「石廊イカ沖朝漬け」という商品名(写真1)で、ニギスの調味すり身は戸田の水産加工業者が「すりすりメギスちゃん」という商品名(写真2)で平成12年に販売を開始した。
- 商品化に至っていないものの、南伊豆のブダイ燻製、戸田のニギス燻製丸干し、伊東のボラ煎餅(写真3)等の開発を行った。
[成果の活用面・留意点]
既に、商品化されたものについては、マーケティング、品質管理等の指導を行い、地域特産品としての定着を図る。また、開発は出来たものの商品化に至らない製品については商品化できるよう普及面で指導を行う。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:地域特産加工品開発事業
予算区分:県単
研究期間:平成10年度~平成12年度
研究担当者:高木 毅、長谷川 薫