国立研究開発法人 水産研究・教育機構

お問い合わせ

海洋音響学会論文賞(水産技術研究所 福田美亮 ほか)

福田美亮主任研究員が海洋音響学会論文賞を受賞しました

掲載日:2022年7月4日

 この度、水産技術研究所環境・応用部門水産工学部の福田美亮主任研究員らの論文が、2022年度海洋音響学会論文賞を受賞しました。受賞論文は以下の通りです。

題目

「北海道釧路沖に生息するツノナシオキアミの密度比と音速比の年変化とターゲットストレングスへの影響」

著者

福田 美亮(水産技術研究所)、向井 徹(北海道大学)、澤田 浩一、松裏 知彦(水産技術研究所)

掲載誌

海洋音響学会誌 第48巻1号(2021年1月)

DOI

https://doi.org/10.3135/jmasj.48.1

研究内容

 ツノナシオキアミは、北海道から東北沿岸に分布する最大体長20 mm程度のオキアミ類の一種であり魚類や鯨類の餌生物として重要な種です。本研究では、音響手法を用いたツノナシオキアミの生物量調査に必要な値であるターゲットストレングス(TS)と、それを決定するパラメータである密度比、音速比を北海道釧路沖にて5年間にわたり測定し、それらの年変化を調べました。TSは生物1個体あたりの超音波反射量、密度比は生体内の重量密度と周囲媒質(海の場合は海水)の重量密度の比、音速比はそれぞれの音速の比の値を表します。
 その結果、ツノナシオキアミの密度比と音速比に年変化は見られなかったこと、そこから計算されるTSも計量魚探機でよく使用される周波数範囲では大きな年変化はないことが確認されました。以上のことから、今後、この海域でツノナシオキアミの音響調査をする場合には、本研究で示した値をこの先も使用していけることがわかりました。また、本研究では、音響調査でよく使用される周波数である38、70、120、200 kHzにおける体長とTSの関係式を示しました。この結果を使うことで、周波数差を用いた体長推定をより精度よくできるようになりました。

中央:福田 美亮 主任研究員(主著者) 右:向井 徹 北海道大学教授(共著者) 左:澤田 浩一 漁業生産工学グループ長(共著者)

左:澤田 浩一 漁業生産工学グループ長(共著者) 中央:福田 美亮 主任研究員(主著者) 右:向井 徹 北海道大学教授(共著者)