国立研究開発法人 水産研究・教育機構

お問い合わせ

2025(R07). 4.11 魚類・貝類の大量死を引き起こすカレニア・ミキモトイ赤潮の過去30年間の変化-西日本における本種有害赤潮の悪化と早期化-

令和 7 年 4月11日

国立研究開発法人 水産研究・教育機構

 

魚類・貝類の大量死を引き起こすカレニア・ミキモトイ赤潮の過去30年間の変化

-西日本における本種有害赤潮の悪化と早期化-

ポイント

  • 主要な有害プランクトンの一種であるカレニア・ミキモトイの赤潮は、過去 30 年 間で総額約 90 億円の被害を西日本で発生させました。
  • 1991~2021 年の赤潮年報データを整理し、複数の空間スケール(大:西日本、中:瀬戸内海・九州海域、小:湾・灘など)を対象とした解析により、本種赤潮 の長期的かつ広域的な悪化・早期化傾向を初めて明らかにしました。
  • 本研究成果は、赤潮対策のための基礎情報として役立つことが期待されます。

概要

 水産研究・教育機構の三宅陽一研究推進コーディネーターと鬼塚剛グループ長は、西日本における Karenia mikimotoi(カレニア・ミキモトイ)の赤潮の長期変化に関する論文を公表しました。本研究では、水産庁が刊行している赤潮の年報から、30 年間(1991~2020 年)の本種データを抽出・整理し、大中小の3つの空間スケール(大:西日本、中:領域*1、小:海域区分*2)を対象としたデータ解析に使用することによって、カレニア・ミキモトイの赤潮が長期的かつ広域的に細胞密度の増加や長期化による悪化と早期化している傾向を初めて明らかにしました。本研究成果は、本種赤潮の発生傾向の把握や赤潮対策の検討のための基礎情報として、水産業と学術界に貢献することが期待されます。 

 

*1 領域:ここでは瀬戸内海や九州海域を示す。 
*2 海域区分:ここでは、湾や灘などの空間的に限られた海域(例:豊後水道、八代海)を示す。 

 

この研究成果は、2025年3月19日に、

Fisheries Science(DOI:10.1007/s12562-025-01867-5, URL: https://rdcu.be/eeheI)にオンライン掲載されました。 

 

論文名:Long-term statistics of the Karenia mikimotoi blooms in western Japan imply multidecadal intensification and phenological changes on the semi-national, regional, and local scales. 

著者:Miyake, Yoichi; Onitsuka, Goh 

予算:JSPS 科研費「西日本における有害プランクトン赤潮発生海域の時空間変動とその要因の究明(JP21K05763)」 

 

 詳細(PDF:686KB)

お問い合わせ先

(研究担当者) 

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 本部研究戦略部 /水産技術研究所 環境・応用部門 環境保全部 三宅 陽一 

E-mail:miyake_yoichi28@fra.go.jp 

(広報担当者)

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 本部経営企画部 広報課 

TEL:045-277-0136 E-mail:fra-pr@fra.go.jp