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2021(R03). 8.26 海藻の抗アレルギー成分に季節変動があり、夏から秋に多いことを発見

令和 3年 8月 26日

国立研究開発法人 水産研究・教育機構

海藻の抗アレルギー成分に季節変動があり、夏から秋に多いことを発見
-島根県隠岐郡 西ノ島町産ツルアラメの抗アレルギー効果・有効成分の研究から判明-

 

 

  • 西ノ島町産ツルアラメに含まれる抗アレルギー成分5 種を特定。その抗アレルギー成分5 種を通年で分析したところ、含有量に季節変動があり、夏から秋に多いことが明らかとなりました。
  • この研究成果により、抗アレルギー成分の含有量が高い時期にツルアラメを収穫することが可能となるほか、収穫量を適切に設定することで、西ノ島町沿岸に生育するツルアラメの持続的利用の可能性が示されました。

 ツルアラメは主に日本海沿岸で生育し、高い繁殖力を有しています。また、コンブやワカメなどの食用海藻と比べ、食品機能性成分の海藻ポリフェノールが多く含まれることから、新規有用水産物の可能性をもった海藻です。
 水産研究・教育機構 水産大学校では、2015 年から島根県西ノ島町を中心とした海藻類加工プロジェクトの活動として、未利用ではあるが資源量が豊富な西ノ島町産ツルアラメの抗アレルギー効果について研究を進めてきました。
 その結果、西ノ島町産ツルアラメには年間を通じて抗アレルギー性が認められるとともに、抗アレルギーの有効成分が海藻ポリフェノールであり、既知の主要成分5 種(eckol、6,6'-bieckol、8,8'-bieckol、dieckol、phlorofucofuroeckol-A)から構成されることが特定されました。また、西ノ島町産ツルアラメの海藻ポリフェノール含有量には季節変動があり、冬季・春季(12 月~5 月)よりも夏季・秋季(6 月~11 月)の方が高いことが判明しました。さらに、その海藻ポリフェノール5 種の季節変動と通年の抗アレルギー性との相関性も明らかになりました。
 以上のことから、海藻ポリフェノールを多く含む他の海藻類と同じく西ノ島町産ツルアラメにも抗アレルギー効果が認められ、新規の有用水産資源としての利用可能性が見出されるとともに、収穫時期や収穫量を適切に設定することで、抗アレルギー成分の含有量が高いツルアラメの持続的利用の可能性が示されました。


 本成果は、島根県西ノ島町委託事業「島根県西ノ島町産海藻から作成された食品原料の食品機能性評価」(2015~2019 年度)及びノア隠岐共同研究「西ノ島町産海藻を利用した食品の成分分析と機能性評価」(2020年度)によるものです。国際学術雑誌のAlgal Research、第58 巻に掲載されました(電子版2021 年7 月14 日にリリース)。

 

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