西村朋宏研究員が国際有害有毒藻類学会の若手奨励賞を受賞
掲載日:2024年2月26日
西村朋宏研究員が、国際有害有毒藻類学会(International Society for the Study of Harmful Algae:ISSHA)の若手奨励賞を受賞し、第20回国際有害有毒藻類学会(ICHA2023)において表彰されました。
国際有害有毒藻類学会(ISSHA)の若手奨励賞(Patrick Gentien Young Scientist Award)は、有害有毒藻類研究分野の飛躍的進歩に貢献した博士号取得後 10 年以内の若手研究者を対象に、その功績をたたえ授与されるものです。西村研究員は、2002年の受賞者以来5人目、日本人では初めての受賞となりました
受賞者
西村朋宏(水産技術研究所 環境保全部 有害・有毒藻類グループ)
受賞研究課題名
Research on the taxonomy, physiology, and ecology of toxic microalgae, particularly benthic dinoflagellates
(有毒微細藻類、特に底生性渦鞭毛藻の分類学的および生理生態学的研究)
受賞研究課題の意義
西村研究員はこれまで高知大学、ニュージーランドのCawthron Instituteおよび水産技術研究所(2023年4月より)において、魚介類の毒化を引き起こす有毒な微細藻類、とりわけシガテラ毒や下痢性貝毒を産生する底生性渦鞭毛藻や記憶喪失性貝毒を産生する浮遊性珪藻の研究に注力してきました。その研究内容は、現場動態の解明、2,000株を超える分離培養株の確立、形態学的・分子生物学的手法に基づく種組成の解明、毒性や毒産生能の解明、増殖生理特性の解明、種特異的な分子生物学的検出・定量法の開発など多岐にわたります。その研究活動により、海藻付着性のアレキサンドリム属藻類を世界で初めて発見するなど、新規性の高い成果を報告してきました(注釈1)。また、これら有毒藻類に起因する諸問題を軽減するために必要なリスク評価や監視体制基盤の整備にも貢献してきました。とりわけ、世界で最も下痢性貝毒を産生する藻類培養株を確立したことは、我が国における安定的な下痢性貝毒標準物質の製造・供給に大きく貢献しました。
(注釈1)麻痺性貝毒を産生するアレキサンドリム属は、これまでに世界で最も研究されてきた浮遊性有毒藻類のひとつです。西村研究員は世界で初めて、海藻に付着する本属藻類が存在すること、かつそれらが未記載種であることを報告しました。