二段箱式落網の錨綱張力の分布
神奈川県水産総合研究所相模湾試験場
[連絡先]0465-23-8531
[推進会議]水産工学
[専門]漁業生産技術
[研究対象]
[分類]普及
[ねらい・目的と成果の特徴]
- 大型定置網の安全対策として二段箱式落網の錨綱の張力分布を明らかにした。
- 力の集中点である両台浮子の錨綱については全ての個所で現在の16mm(12.0tf)ワイヤーロープでは強度不足であり,破断強度26.9tf,太さ24mmへの設計変更が必要である等実用的な固定力の設計指針を明らかにした。
[成果の活用面等]
- 大規模定置網の代表である二段箱式落網について固定力の設計指針を明らかにした。神奈川県を始め,全国に多数ある同規模網の参考となる。今後は,一段箱式落網,同金庫付網,猪口網,底層網等についても張力分布を明らかにする必要がある
[具体的データ]
田内の漁網模型実験比較則により作成した二段箱式落網(実物規模:沖側長450m,三角水深60m,縮尺比Λ=1/150,網目比M=0.230,速度比V=0.361,漁具の特定点に作用する力の比F=5.63×10-6)を用い,全錨綱73本の流向流速と張力の関係を測定した。
流速1.0m/s(約2ノット)の時の全流向における各錨綱の最大張力値をまとめた(図)。両台浮子の錨綱については全ての個所で現在の16mm(12.0tf)ワイヤーロープでは強度不足であり強度の増加が必要である。最大張力値を示す台1番や矢台7番では,それに耐え得る直近上位のワイヤーロープの規格は破断強度26.9tfで太さ24mmとなる。次いで沖大角については現行の14mm(9.2tf)では明らかに強度不足であり,台錨綱と同等の強度のワイヤーロープへの設計変更が必要と考える。
図 全流向における各錨綱の最大張力
流速Current velocity=1.0m/s. (石戸谷,2000)