PCRプロトコルの参考例
公開日:2018年1月22日
下記にTakara Ex Taq Hot Start Version (Takara) を用いてPCRを行う場合のプロトコルを示す。本プロトコルはsphプライマーによってKHVを検出するために開発されたものであるが,比較的一般的であり,さまざまな対象に使用できると考えられる。
(1) マスターミックス:200 μl のマイクロ遠心チューブに下記を分注する。
反応バッファ(10倍濃度) 2μl
dNTPs (2.5 mM mix) 1.6 μl
フォワードプライマー(50 μM) 0.2 μl
リバースプライマー(50 μM) 0.2 μl
DNAポリメラーゼ 0.1 μl
精製水 14.9 μl
19 μl
注:本例では高価な試薬を有効に使用するためにメーカー推奨量の半分で行っている。ピペッティングの誤差を低減するためには全体を2倍量にして行うのがよい。
(2) 上記マスターミックスに抽出DNAを 1 μl 加え全量を 20 μl とする。
同時に,陽性対照, 陰性対照をそれぞれ 1 μl ずつ加えたチューブも用意する。
(3) サーマルサイクラーにチューブをセットし,下記のプログラムで反応させる。
温度 | 時間 |
---|---|
94℃ | 30秒 |
【サイクル開始:40サイクル】 | |
94℃ (denature) | 30秒 |
63 ℃ (アニーリング) | 30秒 |
72 ℃ (伸長) | 30秒 |
【サイクル終了】 | |
72 ℃ | 7分 |
注:対象によってアニーリングの温度は変える必要がある。ふつうは55~68 ℃の範囲で特異性と増幅のしやすさのバランスを考慮してアニーリング温度が決定される。温度が低いほどアニーリングが起こりやすく,増幅されやすいが,非特異的増副産物(バンド)が多くなる。温度が高いほど特異性が増すが,増幅されにくくなる。プライマーが長ければ適切なアニーリング温度は高くなることが多い。なお,プライマーの配列から適切なアニーリング温度を推定してくれるウェブサイトもある。
(4) 上記反応後,3 μl の6倍ローディングバッファを各チューブに加え,そこから7 μl をとってエチジウムブロマイドを含む2%アガロースゲルで分子量マーカーと共に電気泳動(100V 20分)を行う。その後UVライトでバンドを検出する。
注:エチジウムブロマイドは発がん性があるため扱いには細心の注意を払う。毒性の低い代替製品もある。