アマノリ殻胞子の超低温保存
[要約]
アマノリ殻胞子を、海水中で予備凍結後、液体窒素中に浸漬保存すると長期間の保存が可能である。
西海区水産研究所・資源増殖部・藻類・介類増殖研究室
[連絡先] 095-822-8158
[推進会議] 西海ブロック
[専門] 増養殖技術
[対象] のり
[分類] 研究
[背景・ねらい]
アマノリの殻胞子は、「タネ」として養殖生産に欠くことのできないものである。しかし、高等植物の種子とは異なり長期間保存できないため、養殖生産の合理化や研究の進展に大きな障害となっている。そこで、今回、海水中にけん濁させた殻胞子を材料に、液体窒素中(-196℃)での超低温保存を試みた。
[成果の内容・特徴]
- 材料:スサビノリ殻胞子。
- 方法:海水中でプログラムフリーザーを用いて予備凍結後、液体窒素中に浸漬保存。
- 結果:8年間液体窒素中に保存後解凍した場合でも、数多くの殻胞子の生存が見られた。 図1
- 特徴: 保存中の手間がほとんどかからないこと。病害を生じる危険がないこと。長期間の保存が可能であること。必要なときに、解凍するだけで殻胞子が得られること。
[成果の活用面・留意点]
本保存法を用いると、殻胞子を必要なときにすぐ利用することができるため、培養実験を効率的に行うことができる。
[具体的データ]
図1 液体窒素中に8年間保存したアマノリの殻胞子
[その他]
研究課題名:アマノリの収集・保存ならびに品種に関する調査研究
予算区分 :ジーンバンク
研究期間 :平成9年度(昭和60年度~平成12年度)
研究担当者:藤吉栄次・梅沢 敏・清本節夫・山崎誠(東北区水産研究所)
発表論文等:アマノリ殻胞子の超低温保存法、特許公開広報、特開平9-154425,1997