国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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日本マリンエンジニアリング学会論文賞(水産大学校 前田和幸、山西 大)

日本マリンエンジニアリング学会 学会賞受賞について

 

 平成29年5月17日、公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会より本校海洋機械工学科 前田和幸 特命教授、山西 大 講師を含む研究者グループに対し、論文賞が贈呈されました。
 
 本賞は、平成28年に学会誌に掲載された全ての論文のうち特に優れた論文が対象とされ、今回は水産大学校と旭化成ケミカルズとの共同研究による下記論文を含む2件が受賞しました。


 題 目: 酸素低減膜と水混合燃料によるIMO NOx 3次規制対応
 掲載誌: 日本マリンエンジニアリング学会誌 第51巻 第2号 pp.98-105(2016)
 著 者: 前田 和幸 1・山西 大 1・ 清水 敦 2・大野裕一 2・小熊淳一 2
       1 国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校
       2 旭化成ケミカルズ株式会社

 
 この論文は、燃費の悪化を抑えてNOxをIMO 3次規制値まで低減させる技術を確立することを目的として、まず、酸素低減膜(Oxygen Reduction Membrane、以後ORMと記す。)を用いて給気中の酸素濃度を21~17%に変化させた時の、エンジン性能の変化と排ガス特性を明らかにしました。次にこの結果を解析することにより、EGR(Exhaust Gas Recirculation)とORMによるNOx低減技術の有用性と限界を明らかにしました。
 
 更に燃料に水を混合した水混合燃料(Water Mixed Fuel、以後WMFと記します。)による実験と、ORMとWMFを組み合わせた実験を行うとともに、その結果を解析しました。その結果、給気中の酸素濃度を17%まで低下させることによりIMO 3次規制に対応できるが燃費が約3%悪化すること。ORMとWMFを併用することにより、燃費を悪化させることなくNOxを低減できる可能性があることなどを示すとともに、運航者の立場から、ORMとWMFがIMO 3次規制対応技術として今後解決すべき課題を示しました。

 今回の受賞により、英訳(全訳)された論文が学会の英文ホームページに掲載され、水産大学校の功績が世界の船舶系技術者に発信されます。