長崎市三崎町地先に出現するホンダワラ類の分類チャート
1. 藻体下部の葉や枝が下部方向に反曲して生じ、葉の縁辺の鋸歯は葉の中肋に達する・・・ウスバモク
1. 藻体下部の葉や枝が上もしくは横方向に生じる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2. へ
2. 付着器上の茎から生じる主枝には刺がある・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3. へ
2. 付着器上の茎から生じる主枝に刺はない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4. へ
3. 葉は又状に数回分岐するものもある・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キレバモク
3. 葉は分岐せず,先は尖る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツクシモク
4. 生殖器官は雌雄同株である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5. へ
4. 生殖器官は雌雄異株である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6. へ
5. 藻体は細く柔らかく,1m以上になる場合がある・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジリモク
5. 藻体は数十cmで,1m以上にならない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シマウラモク
6. 葉は披針形(葉柄に近い部分の幅が最も広い)で先端は尖り、縁辺は波打ち鋸歯がある・・・コブクロモク
6. 葉はヘラ形(先端近くの幅が最も広い)から長楕円形(中央付近の幅が最も広い)で先端は尖らない
・・・7. へ
7. 藻体下部の葉の質感が厚く,縁辺にはあまり鋸歯がない・・・・・・・・・・・・・・・コナフキモク
7. 葉の縁辺には鋭い鋸歯が並び、葉の先が杯状に分岐する場合もある・・・・・・・・・・フタエモク
旧チャートとの変更点の解説
以前よりホンダワラ属の分類チャートを掲載しておりましたが、新たな分類学的な知見を得ることができ、チャートを更新しました。以下、旧チャートとの変更点を解説します。
- キレバモクとキレバモクトラ模様がキレバモクになりました。形態的にはキレバモクであるが、葉の表面に縞状に濃淡模様があるものをキレバモクトラ模様としていました。本来、海藻の色を分類のキーにすることはあまり良くないのですが、実際の現場では種を同定する上で参考になる場合があります。旧チャート時は慎重に種を取り扱うことを目的としていたため、別のタイプに分けていました。しかし、ITS2領域のDNA塩基配列を比較した結果、キレバモクとキレバモクトラ模様は同様の配列を有しており、形態的にもキレバモクの形質を有していることから、キレバモクとして統一しました。
- ツクシモクタイプ・コブクロモクタイプ・コナフキモクタイプが、それぞれツクシモク・コブクロモク・コナフキモクになりました。これらは生育地や時には同所であっても形態が大きく変異し同定が困難な場合があり、旧チャート時にはタイプとしていました。しかしタイプであってもこれら以外に同定されるものはなく、それぞれを一つの種とすることにしました。しかしこれらの種類は全国的にも他のホンダワラ属に比べて情報が少ないため、今後も慎重に同定を進め知見を蓄積していく必要があります。
- ナンカイモクタイプ・フタエトサカタイプをフタエモクにしました。フタエモクの最も特徴的な形態は、比較的大きいヘラ形の葉の先端が杯状に形成されていることです。旧チャートでは、葉が小さく比較的大型のものをナンカイモクタイプ、杯状の葉があまりよく形成されていないものをフタエトサカタイプとしていました。しかしそれぞれは典型的ではありませんがフタエモクとしての形態的な特徴は有しています。またITS2領域のDNA塩基配列を比較した結果、他の日本沿岸域のフタエモクやDNAデータベースに登録されているフタエモクとも配列が同一だったため、フタエモクとして統一しました。
変更点を示す一覧表 | |
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旧チャート | 現在のチャート |
キレバモク キレバモクトラ模様 |
キレバモク |
ツクシモクタイプ | ツクシモク |
コブクロモクタイプ | コブクロモク |
コナフキモクタイプ | コナフキモク |
ナンカイモクタイプ フタエトサカタイプ |
フタエモク |
変更なし |
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ウスバモク | |
マジリモク | |
シマウラモク |