2022(R04).12.23 LED船上灯を用いた中型いか釣漁船によるアカイカ・スルメイカ操業調査結果
令和 4年 12月23日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
LED船上灯を用いた中型いか釣漁船によるアカイカ・スルメイカ操業調査結果
-LED船上灯による,いか釣漁業の収益性改善-
- 従来光源のメタルハライド(MH)船上灯とLED船上灯の明るさと広がりが同じであれば漁獲に違いはなかった
- 従来光源のMH船上灯からLED船上灯への転換により,燃油消費量は約2~3割削減した
- 燃油経費削減により年間の漁労収支が現状船と同等かそれ以上になった
国立研究開発法人水産研究・教育機構開発調査センターは,いか釣漁業において,従来光源のメタルハライド(Metal Halide:以下,MH)船上灯から転換し,新たな漁灯光源である発光ダイオード(Light-Emitting Diode :以下,LED)を利用することで,漁灯出力の削減による省エネルギーと収益性の改善を目指すための実証調査をしました。
平成25年度は基礎試験として,LEDとMHの船上灯をどちらも装備した中型いか釣漁船2隻で操業調査をしたところ,LED船上灯漁船ではスルメイカ漁獲量が劣る結果となりましたが,その原因はLED船上灯の光の明るさと広がりの違いと推定されました。このため,光学シミュレーションを基にMH船上灯と同じ明るさと広がりになるようにLED船上灯の装備を工夫したところ,スルメイカの漁獲量も同等となりました。
基礎試験の結果に基づき,平成27年度からはLED船上灯(MH 190~250 kW相当の明るさ)を装備した中型いか釣漁船(以下:調査船)とMH船上灯を装備した中型いか釣漁船(以下:当業船)とで同時期に同海域に比較操業試験をしました。その結果,当業船に比べて調査船は燃油消費量を約2~3割削減して燃油経費を軽減できました。加えて, 当業船に比べて調査船はアカイカの漁獲量を約1割増やすことができ,調査船の年間の漁労収支は当業船と同等かそれ以上になりました。
昨今は世界的にCO2排出量規制が求められ,我が国ではCO2に代表される温室効果ガスの排出量を2050年までに全体で実質的にゼロとするカーボンニュートラル*1を目指すことが宣言されています。LED船上灯の導入は経費削減に繋がるとともに,CO2排出量抑制にも寄与します。
本調査結果は令和4年12月発行の令和2年度海洋水産資源開発事業報告書(いか釣:日本海および北太平洋海域)で詳細を説明しております。
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