佐賀県玄海海域におけるケンサキイカの産卵場発見
[要約]
玄海海域の主要対象種であり、近年漁獲量が減少しているケンサキイカを対象とした増殖技術開発試験の一環として実施したROVを用いた産卵場調査で、平成13年5月に小川島北東海域で多数のケンサキイカ卵塊を発見した。
佐賀県玄海水産振興センター 資源研究室
[連絡先]50955-74-3021
[推進会議]西海ブロック
[専門]資源生態
[対象]ヤリイカ
[分類]研究
[背景・ねらい]
佐賀県玄海海域においてイカ釣漁業は主要な漁業であり、その対象としてケンサキイカは量的に多く価格も非常に高いため、最も重要な種類となっている。
一方、ケンサキイカの漁獲量は近年大きく減少していることから、漁業者の資源回復・増大への要望が強い。
資源回復・増大のためには産卵場の保護・造成等が必要であり、そのためにはケンサキイカの産卵場発見が急務であることから、ROVを利用して産卵場の探索を行った。
[成果の内容・特徴]
- 小川島北東6kmの海域において、かなりの数(十数個)の卵塊を、密度(1個/100m2)高く発見することができた。
- 発見した海域は、水深48mで、海底は比較的平坦で流れが速く(早い時は2ノット近く)、底質は比較的荒い砂であった。
- 平成13年度漁期は、ケンサキイカの来遊量は極端に少なかったことが推測され、そういう状況下で、多数卵塊が発見されたことは、当該海域がケンサキイカの主要産卵場であることが示唆された。
- 1卵塊の房数は、平均で120本程度、1房の長さは約19cm、基部の長さは約6cm、1房当たりの卵数は約500粒であった。
- 持ち帰った卵塊は実験室内の水槽でふ化したが、その後の幼生の飼育は困難であった。
[成果の活用面・留意点]
- 卵塊発見海域の底質、流況など環境条件を収集、分析し、その成果を新たな産卵場発見に活用するとともに、産卵場の保護・造成の資料として活用する。
[具体的データ]
《 卵塊発見・採取状況 》
発見期日:平成13年5月18日
採取期日:平成13年5月29日
採取場所:小川島北東海域6kmの海域(水深48m))
探索方法:漁業者情報により海域の絞り込み後、ROVによる探索
採取方法:ダイバーの潜水による採取
[その他]
研究課題名:ケンサキイカ増殖技術開発試験
予算区分:県単
研究期間 :平成13年度(平成11年度~15年度)
研究担当者:資源研究室 野田進治・鷲尾真佐人・柴山雅洋
発表論文等:平成13年度玄海水産振興センター成果報告会口頭発表
平成13年度西海区ブロック漁海況予報会議口頭発表