日本沿岸域学会令和3年度論文奨励賞(水産資源研究所 杉本あおい ほか)
杉本あおい任期付研究員、日本沿岸域学会令和3年度論文奨励賞を受賞
掲載日:2021年10月1日
杉本あおい任期付研究員(所属:水産資源研究所水産資源研究センター社会・生態系システム部漁業管理グループ)が、日本沿岸域学会令和3年度論文奨励賞を受賞しました。
この賞は、沿岸域に関する学術、技術の発展及び文化の向上に対して著しい貢献をしたものに授与されるもので、“現代日本社会における「関係人口」の実態分析:全国アンケート調査の結果から”として発表した研究の成果が、農山漁村活性化に関して大変有用な示唆に富んでいるものとして高く評価されました。
受賞論文
現代日本社会における「関係人口」の実態分析:全国アンケート調査の結果から
著者
杉本 あおい・杉野 弘明・上田 昌子・船坂 香菜子
掲載誌
沿岸域学会誌 第33巻第3号(2020年12月号)
研究成果の詳細
本研究は、超高齢化社会における農山漁村等の地域活性化策の一つとして注目される「関係人口(注)」という社会現象を、全国5000名の市民向けアンケート調査により実証的に明らかにしました。本研究の重要な成果は次の2点です。
- 従来の議論では暗黙に想定されていた「関係人口から移住(定住人口)へ」という図式を反証し、関係人口と移住とは非連続的な現象であることを示した。
- 「地域愛着」概念の分析に関係人口を適用することにより、出自の別に関わらず人と地域の関係性には正負双方の側面があること(例:出身地への負の愛着を有する人が多く存在する一方で、出自と無関係の地域に対して高い地域愛着を有する人も多く存在する)、安易な(人口等の)量的拡大から、関係性の「内実」を高めることに地域活性化の研究や政策の焦点を移行させることの重要性を示した。
本論文は、岐阜県飛騨市が取り組む関係人口創出・活用事業の一環である「未来のコミュニティ研究室」事業に杉本研究員が学術的観点から助言・協力した結果をまとめたものです。本事業ではその産官学協働の特性を生かして、本研究成果を飛騨市、そして全国の自治体へと適用することにより地域活性化に貢献することを目指しています。
注:「観光以上定住未満で、地域と多様な関わりをする人々」との定義が一般的に用いられる
受賞講演は、2021年8月26日岐阜県飛騨市のオンラインイベントで行われました。
「関係人口」と共創する地域の在り方を再定義する参加型トークセッション
https://www.city.hida.gifu.jp/site/fanclub/33712.html(飛騨市HP)