北海道のアサリ増殖場の底質条件
北海道区水産研究所 海区水産業研究部 海区水産業研究室
[連絡先]0154-92-1719
[推進会議]北海道ブロック
[専門]増養殖技術
[研究対象]あさり
[分類]普及
[ねらい・目的と成果の特徴]
- アサリ資源回復のために人工干潟方式の増殖場を造成する技術の開発が必要である。
- アサリの増殖には底質条件が重要と考えられるが実測データが少なく未解明である。
- 生産性の異なるアサリ増殖場において実際の底質条件を調べ比較検討した。
- アサリ生産量が大きい増殖場では、底質の粒度が粗く、地盤(砂面)変動が比較的大きいことを初めて実測値として明らかにした。これらの底質条件は海水の流動と深く関わっていると考えられた。
[成果の活用面等]
増殖場造成にあたり、底質の粒度や硬度等底質条件を選択するための基礎資料として重要である。なお、結果の普遍性等については他の要因も考慮しながら追試を行っているところであり、活用にあたっては地域特性の違いを考慮する必要がある。
[具体的データ]
根室海域のアサリ増殖場(尾岱沼地区大規模増殖場)においてアサリの生産性が異なるA増殖場(第1工区)とB増殖場(第2工区)において底質条件を比較検討した。アサリ生産量が4.7kg/平方メートル/年とB地点に比べて有意に高いA増殖場では、底質の中央粒径がB増殖場の1.4倍、硬度は0.7倍であり、粒度が粗いことが判った。さらに地盤(砂面)変動が比較的大きいことから、A地点では水理的な流動が大きいことが推察された。
図1