国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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共食いはスケトウダラの資源変動に影響?

北海道区水産研究所 亜寒帯海洋環境部 高次生産研究室
[連絡先]0154-92-1720
[推進会議]北海道ブロック
[専門]資源生態
[研究対象]すけどうだら
[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

  • スケトウダラは共食いをすることが知られるが、その資源動態への影響は未知。
  • 太平洋系群の索餌場を対象に本種の加入・成長・捕食 被食関係・サイズ依存的餌選択・親魚 幼魚の棲み分け・および漁獲死亡等を定量的に分析可能な齢構成モデルを構築した。
  • シミュレーション出力は野外で観察された本種食性の季節・成長変化をよく再現しており、諸過程が適切にモデル化 されていることが確認された。
  • モンテカルロ・シュミュレーションにより異なる齢構成の下で本腫の着底後死亡要因の変化を分析したところ、共食いは多量の加入があった翌年および捕食者となりうる4歳以上の資源レベルが高いときに多く発生し、これは野外での観察と一致した。
  • 平均的な捕食者密度の下で共食いが着底後の全死亡に占める割合は10%程度であり、他種による捕食や漁獲に比べその重要性は低いと推察されたが、共食い捕食者との遭遇の鍵となる水塊の物理構造と加入量次第では資源動態に重要な影響をおよぼすと考えられる。

[成果の活用面等]

  • モデルパラメータに関して充実を図ったうえで計量魚探による加入量調査や他の資源解析と併用することにより短期的な動態予測が可能となる。


[具体的データ]

図1
・図1.モデルの主要要素と過程を示す概念図.スケトウダラの齢構成は離散的に示されているが実際の積分は日単位で行なった。

図2
・図2.異なる齢構成のもとでの死亡原因に関するモンテカルロ・シミュレショーン.共食いの重要性は漁獲や他種による捕食に比べ全死亡への寄与が低い