国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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日本のサケ科魚類

サケ科魚類について

日本のサケ科魚類_FRANews16号抜粋

サケ科魚類の分類体系(抜粋)FRAニュースNo.16(2008年10月)の「特集サケの仲間たち」より

  • サケ科魚類の共通する特徴は、いずれも背びれの後方に「あぶらびれ」という肉質の小さな扇状のひれをもっていることが挙げられる。また、川の上中流や湖岸で砂利床に穴を掘って産卵する。
  • サケ、カラフトマス、サクラマス、ベニザケなどは一生に一回のみ産卵し、その後は全ての個体が死亡する。一方、同じサケ属だがスチールヘッド(降海型ニジマス)は産卵後も生き残り、海に戻ったあと再び河川へ産卵そ上する。
  • 生活域はいろいろなタイプに分類され、生活の一時期を海で暮らすものと、一生を川で生活するものとがある。例えば、サクラマスは海に下る降海型と川で一生を過ごす河川型(ヤマメ)があり、ベニザケは幼魚期の1~2年を湖沼で生活しその後に降海する。
  • 海での生活期間も数カ月から数年までと様々である。産卵期が近づくとそれまでの銀白色(ギンケ)から婚姻色(ブナケ)に体色が変化する。また、雄の場合には背部が張り出し鼻が鉤状(鼻まがり)に曲がるものなど、体色や体型が大きく変化する。

日本及びその周辺海域に見られる主なサケ科魚類

  1. サケ属
  2. タイセイヨウサケ属
  3. イワナ属
  4. イトウ属

サケ属(Oncorhynchus

標準和名 学名 英名(例) 詳解記事
サケ Oncorhynchus keta Chum salmon SALMON情報 6号(PDF:955KB)
ベニザケ(ヒメマス) Oncorhynchus nerka Sockeye salmon さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 7号
(PDF:171KB)
クニマス Oncorhynchus kawamurae Black kokanee SALMON情報 11号(PDF:1,164KB)
ギンザケ Oncorhynchus kisutch Coho salmon SALMON情報 7号(PDF:1,004KB)
カラフトマス Oncorhynchus gorbuscha Pink salmon さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 15号
(PDF:120KB)
サクラマス(ヤマメ) Oncorhynchus masou Masu salmon さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 8号
(PDF:109KB)
亜種:サツキマス(アマゴ) Oncorhynchus masou ishikawae Red-spotted masu salmon SALMON情報 8号(PDF:621KB)
ビワマス(注) Oncorhynchus sp. Biwa salmon SALMON情報 10号(PDF:1,539KB)
マスノスケ Oncorhynchus tshawytscha Chinook salmon
King salmon
さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 9号
(PDF:101KB)
*ニジマス(スチールヘッド) Oncorhynchus mykiss Rainbow trout
Steelhead trout
さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 12号
(PDF:82KB)

(注)ビワマスの分類(サクラマスの亜種とするか別種とするか)については、未だ論争中であり、現在のところ種名は確定されていない。
* ニジマスは移入された種である。

 

タイセイヨウサケ属(Salmo

標準和名 学名 英名(例) 詳解記事
**タイセイヨウサケ Salmo salar Atlantic salmon SALMON情報 5号(PDF:443KB)
*ブラウントラウト Salmo trutta Brown trout SALMON情報 4号(PDF:865KB)

* ブラウントラウトは移入された種である。
**タイセイヨウサケは日本に生息していないが、養殖魚が多く輸入されており、特に回転寿司などで国内でもよく食べられていることから掲載した。

 

イワナ属(Salvelinus

標準和名 学名 英名(例) 詳解記事
オショロコマ
亜種:ミヤベイワナ
Salvelinus malma krascheninnikovi
Salvelinus malma miyabei
Dolly Varden
Miyabe's char
さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 13号
(PDF:127KB)
イワナ
亜種:アメマス(エゾイワナ)、ヤマトイワナ、ニッコウイワナ、ゴギ
Salvelinus leucomaenis White-spotted char
Japanese char
さけ・ます資源管理センターニュース
SALMON 10号
(PDF:136KB)
*カワマス Salvelinus fontinalis Brook trout

SALMON情報 12号(PDF:675KB)

*レイクトラウト Salvelinus namaycush Lake trout SALMON情報 13号(PDF:1,092KB)

*カワマス及びレイクトラウトは移入された種である。

 

イトウ属(Parahucho

和標準名 学名 英名(例) 詳解記事
イトウ Parahucho perryi  Sakhalin taimen
Japanese huchen
SALMON情報 9号(PDF:3,684KB)

主な放流魚種

  1. サケ
  2. サクラマス
  3. カラフトマス

サケ Oncorhynchus keta

成熟した雄のサケ
成熟した雄のサケ

成熟年齢:2~8年
体長:45~85cm

日本の沿岸や河川にそ上するさけ・ますの大部分を占め、人工ふ化放流の主力魚種になっている。
一般にアキサケ、アキアジと呼ばれ、他のさけ・ますと区分するためにシロザケとも呼ばれる。
9月~12月に北日本の沿岸へ来遊し河川へそ上する。
中下流の湧水域で産卵し、ふ化した稚魚は翌年の3月~5月に降海して北太平洋での索餌回遊に向かう。
回帰親魚の主群は4年魚。

コラム:ギンケとブナケ

サクラマス Oncorhynchus masou

成熟した雄のサクラマス
成熟した雄のサクラマス

成熟年齢:3~4年
体長:30~60cm

我が国など極東にだけ分布する魚種で、海洋における回遊の範囲はサケほど広くはない。
桜の開花する5月から7月頃にかけて河川にそ上し、そのまま河川で越夏して9月~10月に産卵する。
稚魚は1~2年河川内で生活してから降海し、海洋で1年間過ごした後、再び河川へ産卵のためにそ上する。

コラム:サクラマスとヤマメ

カラフトマス Oncorhynchus gorbuscha

成熟した雄のカラフトマス
成熟した雄のカラフトマス

成熟年齢:2年
体長:40~65cm

北海道では、主にオホーツク海、根室海峡の河川にそ上する。
沿岸に回遊した成熟前の魚体は、背が青色を帯びていることからアオマス、
尾びれの黒い斑紋と小型のウロコを持ち、産卵期の雄の成熟魚は背部が大きく隆起することが特徴で、サケやサクラマスとの判別は比較的容易である。
6月~10月に河川へそ上し、中下流域の比較的流れが速く透水性の良い砂礫底で産卵する。
ふ化した稚魚は翌年の4~6月に降海し、他の魚種と異なり全て2年魚で回帰する。