「水産生物放射能分析技術研修会」を開催しました
平成23年4月15日、中央水産研究所で「水産生物放射能分析技術研修会-試料の採取及び調整方法について」を開催いたしました。
水産生物の放射能測定にあたって特に注意が必要な、試料の採取、保管、輸送及び前処理について解説と実演を行い、全国の自治体や民間の検査機関から集まった担当者60名が参加しました。
資料:試料の採取及び調製方法について(PDF:3,285KB)
中央水産研究所長のあいさつ
本日は皆様ご多忙のなか、この研修会にお集まりいただきありがとうございます。
まず、この度の震災でお亡くなりになった皆様のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。また、今なお被災地や避難先で大変なご苦労をしておられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。
さて、この度の震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故が、水産業にも大きな影響を及ぼす事態に立ち至っておりますことを、水産にかかわる者として極めて残念に思っております。一日も早い事態の収拾が望まれるところでございます。一方、こうした事態になりました以上は、私たち試験研究機関や分析機関が連携・協力して、水産物の放射能の状況を的確にモニタリングし、情報を正確に漁業者や消費者の皆様にお伝えしていくことが、水産物の信頼の回復と水産業の再開へ向けての重要なステップであると考えております。
水産物の放射能の分析にあたりましては、水産物ならではの注意や、食品としての安全性を評価する観点からの試料の処理が必要でございます。例えば、小魚であれば頭から丸ごと食べることがございますが、大きな魚では骨や内臓を除去して調理するのが一般的でございます。また、海藻や貝類では食べ方や調理の仕方が、魚とは異なっております。こうしたなかで、関係の都道府県や分析機関の皆様から、水産物の分析はどうしたらよいかなどのお尋ねを度々いただいて参りました。そこで、今回、私ども水産総合研究センターとして、食品としての水産物の放射能分析にあたって、特に留意すべき点について皆様にご説明をさせていただきたく、このような技術研修会を開催いたしました。
本日お集まりの皆様のなかには、専門の分析機関として私どもよりもはるかに高い技術や豊富なご経験をお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。本日、私どもがご紹介する方法が、唯一絶対のものであると申し上げるつもりはございません。しかしながら、今後各機関で分析を進められるにあたり、水産物としての留意点やそれに対応した具体的な試料の取り扱いや前処理の方法につきまして、関係の皆様に共通の認識を持っていただきますことは、漁業者や消費者の皆様により適切な情報をご提供していく上で欠かせないことであろうと考えております。
本日の研修会が、今後の皆様のお取り組みの上で少しでもお役に立ちますことを願っております。限られた時間ではございますが、どうかよろしくお願いいたします。