国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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【開催報告】シンポジウム「持続可能な次世代養殖システムの開発 ~サバ養殖の新たな展開に向けて~」

令和5年12月12日にシンポジウム「持続可能な次世代養殖システムの開発:サバ養殖の新たな展開に向けて」がイオンコンパス東京八重洲会議室でJST未来社会創造事業「日本型持続可能な次世代養殖システムの開発-養殖システム研究会」と水産増養殖産業イノベーション創出プラットフォームの共催で行われました。申し込みの登録者は会場とWEBあわせ296名でした。

 

開会にあたりJST未来社会創造事業「持続的な社会の実現」領域運営統括である國枝様より挨拶をいただき、事業の担当研究課題の構成やシンポジウムの趣旨としてプロジェクトリーダーの当機構中山理事長より説明があり、持続的な次世代養殖業のためには、「飼料、育種、飼育システム」の3つをうまく関連させながら行っていく必要があることが示されました。

その後、特別講演として沖合を養殖システムの場として活用する上で同じ課題を持つ「洋上風力発電施設を利用した沖合での養殖ビジネス開発について」九電みらいエナジー株式会社の福岡様より講演いただきました。この所属会社は九州電力の中で再生可能エネルギー分野の決断を早くするため子会社化されたものであり、地域で使うエネルギーを地域の人と一緒になって話し合いながら課題を解決してきた実績があるということでした。漁業と再生可能エネルギーの共存に向けて関係者と対話していきたいと語りました。

次にJST未来事業の研究課題の成果としてプロジェクトのメンバーから各担当部分についての講演がありました。餌関係では「発酵技術を利用した資源循環型養殖餌料の開発」を京都大学小川教授から、育種関係では「育種産物の不妊化と種の保存」を東京海洋大学吉崎教授から、養殖システム関係では「海面半閉鎖循環式養殖システムの実現可能性の検討」を東京大学北澤教授と当機構井上グループ長から説明いたしました。総合討論ではサバに関する研究、生産、消費にかかわる4名(九州大学の太田教授、福井県立大学の田原教授、田烏水産(株)の横山代表取締役、全日本さば連合会の池田様)をパネリストとして加えて会場とWEB参加者交えて活発な議論が行われました。

最後にプロジェクトリーダーの中山理事長から、総合討論の中でサバは世界中どの料理にも適応できるインターナショナルな食材となる可能性を持っており、この特徴は世界中に広がるサーモン食と同じでソースや調理を変えればどこにでも受け入れられることを裏付けるという印象を受けたことから、サバ養殖の本プロジェクトの成功に向けた今後の推進に自信が持てたと大変力強く語りました。