平成23年度調査結果概要
■事業一覧
1 遠洋まぐろはえなわ(太平洋中・東部海域) |
2 海外まき網(熱帯太平洋海域及び熱帯インド洋海域) |
3 沖合いか釣(日本海海域) |
4 沿岸いか釣(長崎県壱岐周辺海域) |
5 遠洋かつお釣(太平洋中・西部海域) |
6 北太平洋さんま漁業(北太平洋中・西部海域) |
7 近海はえなわ(北太平洋西部海域) |
8 沖合底びき網(日本海西部海域) |
9 大中型まき網(北部太平洋海域) |
10 ひきなわ:タチウオ(豊後水道周辺海域) |
■事業ごとの調査概要
1 遠洋まぐろはえなわ(太平洋中・東部海域)
開発丸(489トン) 調査期間:5月~翌年3月 調査海域:太平洋中・東部海域 |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
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(1) 効率的な漁業生産技術のためのメバチの効率的な漁獲を目的として,従来よりも深い水深帯に釣針を設置する超深縄操業に取り組んだ。
また,省エネルギー技術の開発を目指し,魚倉保冷温度を従来よりも高くした 45℃保冷製品の市場性評価に取り組んだ。
(2)“通常深縄(浮縄長40m)” と“超深縄(浮縄長150m)+水中ライト”の比較操業(1操業あたり各40鉢ずつで比較)を,6月中旬~下旬のタヒチ東方,11月上旬~11月下旬のタヒチ南東,2月中旬~3月中旬のジョンストン沖で合計55回行った。1鉢あたりの枝縄数は16本であり,超深縄では内4本に水中ライトを取り付けた。超深縄鉢の設置深度帯は,おおむね200~300m,設置水温帯は,ほとんどの釣針が10~15℃であった。メバチの平均釣獲率は,タヒチ東方では,通常深縄7.9に対し超深縄15.1,タヒチ南東では,通常深縄2.3に対し超深縄4.5,ジョンストン沖では,通常深縄5.5に対し超深縄8.7であった。いずれの時期・水域でも,メバチの釣獲率は,超深縄の方が高く,過去の試験と同様の傾向だった。一方,超深縄操業では幹縄に負荷が懸かるため,通常深縄と同じ揚縄時間とした際に設置できる釣針数は,通常深縄の70%程度であった。
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2 海外まき網(熱帯太平洋海域及び熱帯インド洋海域)
調 査 船:日本丸(744トン) 調査期間:5月~10月,12月~翌年3月 調査海域:熱帯太平洋海域・熱帯インド洋海域 |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
今後データを精査することでFADs周辺での魚群行動や光刺激を利用した混獲防止方策についての知見が得られると期待される。
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3 沖合いか釣(日本海海域)調 査 船:第二吉丸(164トン)
調査期間:平成23年10月~平成24年1月
調査海域:日本海海域
調査の目的沖合いか釣漁業を対象とし,船上灯の出力削減を実現し得る新しい漁灯利用技術を確立することにより,本漁業の収益性改善に資する。
平成23年度調査の主な成果等(1)いか釣漁業における燃油消費量削減の取り組みのひとつとして,開発調査センターでは,LED水中灯を併用することによる船上灯出力の削減の可能性について調査を行っている。前中期計画期間においては,北太平洋のアカイカ操業の際,夜間に水中灯を併用することで,漁獲量を維持しつつ船上灯出力削減が可能であることを確認した。他方,日本周辺海域におけるスルメイカを対象とした操業では,船上灯出力を削減しつつ漁獲量を維持する実例も見られたものの再現性のある結果となっていない。 一般にスルメイカについては,光に蝟集する反面,一定以上の強い光に対しては忌避行動を取ることが報告されている。本調査では,蝟集と忌避の効果を適切に組み合わせて釣獲可能範囲内に効率的にイカを誘導する技術を開発するため, 船上灯及び水中灯の使用条件によるスルメイカ漁獲状況や行動の違いを調査した。(2)船上灯の出力を通常操業(250 kW)より削減し,水中灯の併用条件を変化させた結果,水中灯を表層付近に垂下して出力を絞って点灯した場合には漁獲量が多く,水中灯を深く垂下した場合や,比較的高い出力で点灯した場合には漁獲量が少なかった。(3)青色及び緑色LED水中灯を舷側に垂下して観察した結果,イカ群は水中灯垂下舷よりも反対舷のやや離れた位置に集群しており,釣獲尾数も反対舷で多い傾向が見られた。(4)以上のように,本年度調査においては,水中灯の垂下水深などの点灯条件によって漁獲量が変化すること,イカ群が水中灯の反対舷に集群することが確認された。このことから,水中灯を用いてイカ群を釣獲可能範囲に誘導するためには,水中灯の適切な垂下位置を見いだす必要があると考えられた。
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4 沿岸いか釣(長崎県壱岐周辺海域)調 査 船 :平和丸(19トン)
調査期間:平成23年12月~平成24年3月
調査海域:長崎県壱岐周辺海域
調査の目的沿岸いか釣漁業を対象とし,船上灯の出力削減を実現し得る新しい漁灯利用技術を確立することにより,
本漁業の収益性改善に資する。
平成23年度調査の主な成果等(1) いか釣漁業における燃油消費量削減の取り組みのひとつとして,開発調査センターでは,LED水中灯を併用することによる船上灯出力の削減の可能性について調査を行っている。
沿岸いか釣漁船に関する調査では,作業スペースに乏しい小型船でも水中灯の設置・操作が可能であること,スルメイカが水中灯光に反応する反面,イカの盛漁期には魚類も多く,水中灯に蝟集した魚類によりイカが逸散する可能性が示唆された。また,潮汐等の影響によりCPUEが変化することを観察した。以上を踏まえ,本調査では,魚類の影響を避けることと,潮汐の影響を考慮することの双方に留意しつつ,効果的な水中灯利用技術の開発に取り組んだ。(2) 調査船の周辺で水中灯に集群する20種の魚類を確認した。このなかには,イカ類を捕食する可能性のあるクロマグロ(ヨコワ)やブリなどの大型魚類も含まれていたが,これらの胃内容物からイカは出現せず,魚探等による観察でも,魚類によりイカの逸散事例は見られなかった。このように,水中灯に蝟集した魚類が操業に悪影響を及ぼすという当初懸念された現象はほとんど発生せず,水中灯使用操業に際しての大きな障害とはならないことが確認された。
潮流と漁獲量の経時変化より,潮流の方向や速度が変化する前後に漁獲量が増加する傾向が認められた(図1)。
このような漁灯以外の要因による漁獲量の変化を,水中灯併用による省エネルギーとどのように結びつけ得るかについては,今後の検討課題である。(3) 本年度調査では,水中灯を併用しつつ船上灯数を他船より2割削減して,他船と遜色ない漁獲を得た(図2)。
壱岐周辺では,操業区域毎に船上灯数の上限が定められている。
このため,船上灯数を2割削減した場合の燃油消費量の削減割合も区域によって異なり,50灯(150kW)制限区域では船上灯に係る燃油消費量の28%(毎時15 L)であったのに対し,20灯(60kW)制限区域では同8%(毎時2 L)にとどまった。
今後は,船上灯数上限が低い区域での燃油消費量削減の要否と方策の検討が課題である。また,上記の潮流変化など,漁灯以外の要因による漁獲量変化への対応も含め,水中灯の最適な使用条件を検討する必要がある。
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5 遠洋かつお釣(太平洋中・西部海域)
調 査 船:第三十一日光丸(499トン) 調査期間:9月~翌年3月 調査海域:太平洋中・西部海域 |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
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6 北太平洋さんま漁業(北太平洋中・西部公海域)
調査船(網船) : | 第十一権栄丸 (199トン), |
第三十七傳丸 (167トン) | |
第十五三笠丸 (169トン) | |
調査船(運搬船): |
第十八漁栄丸(199トン)、 |
第五十六北雄丸 (168トン) | |
調査期間:6月~7月 |
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調査海域:北太平洋中・西部海域 |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
また,効率的探索のための海洋環境とサンマ魚群分布の関係に関する情報収集と,効率的集魚のためのLED水中灯利用技術開発にもそれぞれ取り組んだ。さらに,東日本大震災の復興支援の一環として,調査を通じて得られた漁期前情報の迅速な提供を行ったほか,調査漁獲物を対象とした放射性物質検査により安全性確認を行った。
? 昨年度まで実施した敷網を用いる方法に比べ,転載速度が速く作業効率が向上すること,
? 裏こぎ作業が不要であるために網船と運搬船の2隻のみで転載が可能であることから運航の自由度が向上すること,
? 大型のタモを用いた魚汲み作業が不要であるために安全性と作業性が向上すること,
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7 近海はえなわ(北太平洋西部海域)
調 査 船:調査船:海青丸(149トン) 調査期間:4月~8月 調査海域:北太平洋西部海域 |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
(1) 操業調査
(2) シャーベット状海水氷を使用した初期冷却効果の確認
(3) 収益性の改善の検討
ビンナガは,夏場には他漁法での漁獲増加により単価が下落する傾向にあり,5月~6月のビンナガ操業では昨年同時期のヨシキリザメ操業時よりも1日当たりの生産金額は減少した。7月は,単価が高いメバチ操業に変更することにより,1日当たりの水揚げ金額は上昇した。このことから,気仙沼近海まぐろはえ縄漁船の夏期の収益性を改善する方法としては,ヨシキリザメとメバチとを計画的に水揚げすることが効果的であると考えられる。詳細については,中央水産研究所と連携して分析を行っているところである。
(4) 近海まぐろはえ縄船の燃油消費実態の把握 水産工学研究所と連携して,解析を行った結果,本年度のように銚子を水揚げ基地とする場合,銚子から東方の漁場に向かう航行では黒潮続流を活用すること,漁場から銚子に向けての復航時には黒潮続流を避けて航行することが,燃油節約の上から効果があることが明らかとなった。また,操業中に幹縄を切断することによる探索活動に相当量の燃料が消費されることから,幹縄の切断回数を減少させるための漁具へのメンテナンスが省燃油のためにも重要であることが示された。
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8 沖合底びき網(日本海西部海域)
調査船:明信丸(95トン) 調査期間:4月~10月(6月~8月は禁漁期間) 調査海域:日本海西部(隠岐諸島周辺) |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
(4) 成果の普及状況
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9 大中型まき網(北部太平洋海域)
調査船 : 恵比須丸(19.0トン) 第八十八光洋丸一号艇(9.1トン) 林丸(2.9トン) 調査期間:7月~11月 調査海域:北部太平洋海域 |
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
本調査では,3隻(網船・投網補助艇・探索船)11人で構成される1そうまき網操業方式で操業調査を行った。活餌生産のみを行うため,漁具規模は従来の80%程度とした。
投網はパラシュートアンカー方式で行い,パラシュートアンカー回収後,環巻き,揚網の順で作業した。揚網時の人員配置は探索船(裏漕ぎ作業)に1名,投網補助船(揚網作業等)に1名,網船に9名とした。揚網終了後,活餌運搬船を魚捕部に配置し,浮子を沈めて,網中の漁獲物を活餌運搬船(活餌組合手配)に移送した。
調査期間中に55回操業し,カタクチイワシ等を計87.0トン漁獲した。操業調査において,一定の所要時間で操業できること,生産した活餌は支障無くかつお釣漁船に利用されたこと等を確認し,本操業システムが活餌生産システムとして機能することを実証した。
今漁期の三陸におけるかつお釣漁業向け活餌の総供給量は47,753杯(活餌組合資料)で,本調査では三陸での総活餌供給量の約10%に相当する4,977杯を供給し,気仙沼を中心とするかつお水揚げ復興の一助となった。
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10 ひきなわ:タチウオ(豊後水道周辺海域)
調査船 :正福丸(4.3トン) 喜久吉丸(4.2トン) 調査期間:調査期間:9月~12月 |
調査海域:豊後水道周辺海域
調査の目的
平成23年度調査の主な成果等
開発中の投縄装置
開発中の擬似餌
(1) 操業の効率化
(2) 経費節減効果の確認
(3) 販売単価向上対策(一部,大分県に委託)
(4) 資源の持続的利用方法の開発(大分県農林水産研究指導センター水産研究部への委託)